セザンヌのアトリエ内に置かれた静物画のモチーフを撮影した写真。

釉薬をかけた陶器の水差し(写真左)と頭蓋骨(写真右)。

ともにジョエル・マイロウィッツの最新作品集より

COPYRIGHT JOEL MEYEROWITZ, COURTESY HOWARD GREENBERG GALLERY

 画家のポール・セザンヌが死去したのは1906年。以来、彼が最後の4年間を過ごしたエクス=アン=プロヴァンスのアトリエはそのままの状態で保存されてきた。セザンヌは、静物画に用いたモチーフをアトリエいっぱいに置いていた。陶器の水差し、ミニチュアの彫刻、人間の頭蓋骨といったこれらのモチーフをアメリカの写真家ジョエル・マイロウィッツが撮影し、このほど作品集『Cézanne's Objects』(ダミアーニ社)として発刊した。


マイロウィッツは、モチーフが置かれた状態のまま、アトリエの灰色の壁を背景にして撮影した。そうすることで、被写体の静物が平面的で絵画的に見えるのだと言う。「セザンヌは、近代絵画において平面性を提唱した最初の画家でした。それは、シンプルに絵の具を塗ったキャンバスとして絵画の二次元性と向き合うという、現代的な考え方だったのです」とマイロウィッツは語る。


 このシリーズのいくつかの作品は、現在、NYのハワード・グリーンバーグ・ギャラリーに展示されている。「撮影したモチーフはどれも古く、傷んでいますが、そこには確かに魂が宿っている。その魂をセザンヌも感じていたに違いありません」とマイロウィッツ。彼は以前、ボローニャにあるジョルジョ・モランディのアトリエでも同様のプロジェクトに取り組み、昨年、今回の姉妹書ともいうべき作品集を出版した。前回のプロジェクトに刺激を受けて、今回、再び同様の企画に取り組むことにしたのだ。


マイロウィッツは言う。「別のアーティストの歩んだ道をたどり、その当時、そこにいるのがどんな感じであったか理解できる――そんな体験をすることが、ときにあるのです」






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