マリック・シディベの作品『ナナ・トゥーレ』(1973年)

© MALICK SIDIBÉ

COURTESY GALERIE MAGNIN-A, PARIS

 マリ共和国の若者文化をとらえたモノクロ写真で知られる写真家マリック・シディベ。昨年の没後、最大となる回顧展が2018年2月まで、パリのカルティエ財団で開催中だ。ベルボトムのパンツをはいて、腕時計やラジオ、ジェームス・ブラウンのレコードを得意げに見せびらかす若者。今では聴かれなくなった音楽に合わせ、頭をくっつけるようにして裸足で踊るカップル――。『マリック・シディベ:マリの奇才』と銘打ったこの回顧展には、こうしたサハラ砂漠以南のアフリカで流行を追い求める若者たちの姿を写し取った彼の代表的な写真のほか、125点を超える未発表作品も展示されている。



無題、撮影年不明

MALICK SIDIBÉ ″SANS TITRE″

TIRAGE UNIQUE D’EPOQUE ©MALICK SIDIBÉ

COURTESY GALERIE MAGNIN-A, PARIS



 今回の大回顧展のために、シディベの残した何千点ものネガから写真を選び出した共同キュレーターのアンドレ・マニャンは言う。「マリックは若者を愛していた。30年間、若者が集まるパーティにはすべて足を運んで彼らの写真を撮り続けていました」。1935年頃に当時のフランス領スーダンの農村ソロバに生まれたシディベは、10歳で学校に通い始めるまで羊の世話をして暮らしていた。やがて絵画の才能が認められ、スーダン工芸学校で学んだ彼は、卒業後、フランス人コミュニティの写真家ジェラール・ギヨーのもとで見習いとして働いた。シディベが撮影したロックンロールに興じる若者たちの姿からは、当時の流行だけでなく、植民地時代の過去からも、誕生したばかりの社会主義政権からも解き放たれた自由な雰囲気が伝わってくる。マニャンの言うように、それは「大いなる希望に満ちた時代」だったのだ。




Malick Sidibé Mali Twist

『マリック・シディベ:マリの奇才』

公式サイト






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