季節にふさわしいもの、ときめくものをさりげなく――。ギフトコンシェルジュの真野知子さんが、日本の作り手たちによる素敵な贈りものを紹介する連載第2回

BY TOMOKO MANO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 春爛漫、花々が咲き乱れる4月。入学や就職、転職や転勤などで、環境を変えて新生活を始める人も多い季節だ。新しい扉をあける人に、前途を祝して花束のかわりに、心躍る素敵なものを。今回ご紹介するのも、日本の職人の手仕事によるもの。ほかの誰でもなく、その作り手だからこそ生み出せる、繊細で可憐な花の色やかたち。新しいスタートに立ち、期待とともに少し心細さも感じているであろう大切な人に、「おめでとう」「がんばって」の気持ちをこめて贈りたい。


 岡田多恵さんは、岡山を拠点に、パート・ド・ヴェール技法で作品作りをしているガラス作家だ。パート・ド・ヴェールとは、ガラス工芸の技法のひとつで、フランス語で「ガラスの練り粉」という意味合い。粘土で原型をつくり、耐火石膏の鋳型をとっていくその技法のルーツは、古代メソポタミアにまでさかのぼる。いくつかの工程を経て作り出される立体的なフォルムや、濃淡ある色調も特徴だ。一般的にパート・ド・ヴェールの技法には不透明で重厚さを感じるものが多いように思うが、岡田さんの作品はやわらかな透明感が漂い、そのたたずまいには優しい温かみがある。

画像: 野ばら ¥54,000

野ばら ¥54,000

画像: 芍薬 ¥129,600 サボア・ヴィーブル TEL. 03(3587)0318

芍薬 ¥129,600
サボア・ヴィーブル TEL. 03(3587)0318


 四季折々の自然や植物をモチーフとした作品が多く、特に花をモチーフとした作品では、立体的なフォルムに繊細な美が宿る。うつわや蓋物、蓋椀に盃、帯留めなど作品のバリエーションはさまざま。暮らしの中で、視線に入るたび、手にとるたびに、心を明るく和ませてくれる。美しい器は、新しい扉を開く人への穏やかなエールを込めた、特別な贈りもの。「野ばら」や「すみれ」、「芍薬」など春の花をモチーフにした作品たちが、この季節にふさわしい。

「岡田多恵ガラス展」
会期:2018年4月3日(火)~4月15日(日)
場所:ギャラリー にしかわ
住所:京都市中京区河町通四条上ル塩谷町332マロニエビル2F
開廊時間:12:00~19:00 ※最終日は17:00まで
休廊日:月曜
電話: 075(212)3153
公式サイト

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.