『ロシュフォールの恋人たち』。

『シェルブールの雨傘』に続きカトリーヌ・ドヌーヴ(写真左)が出演。

姉のフランソワーズ・ドルレアックとお揃いの

キュートな衣装で未来への夢と恋のときめきを歌い踊った

© CINÉ - TAMARIS


 世界中で大ヒットした『ラ・ラ・ランド』には、若き才能デミアン・チャゼルの往年のミュージカル映画へのオマージュがあふれていた。とりわけ、ビッグバンド・ジャズの心浮き立つメロディで始まるオープニングは『ロシュフォールの恋人たち』(’67)、切ない再会が涙を誘うラストは『シェルブールの雨傘』(’64)と、シチュエーチョンまでそっくり同じで、ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランへの心酔ぶりを表明していた。



アルジェリア戦争に引き裂かれる恋人たちの悲恋を

哀愁のメロディにのせて描いたカンヌ映画祭パルムドール作

『ロシュフォールの恋人たち』

©CINÉ -TAMARIS, PHOTO BY AGNÉS VARDA  ©AGNÉS VARDA



そんなヌーヴェル・ヴァーグの名監督と天才作曲家による傑作フレンチ・ミュージカルが、『ロシュフォールの恋人たち』制作50周年のこの秋、“シネマ・アンシャンテ”と題してスクリーンに復活。上記2作のほか、カトリーヌ・ドヌーヴがシャルル・ペロー童話のお姫様役で輝く『ロバと王女』(’70)、池田理代子原作をフランスで映画化した『ベルサイユのばら』(’79)もデジタルリマスターで蘇る。



おとぎ話特有の倒錯した物語を、キッチュな映像と美しい音楽で

遊び心たっぷりに映像化した『ロバと女王』

© CINÉ - TAMARIS



 ルグランの天才的な音楽、ベルナール・エヴァンのビビッドな美術と可憐な衣装。斬新さがほとばしるドゥミの映画は、一見『ラ・ラ・ランド』の原点と思ってしまうのだが、今年6月に来日したカトリーヌ・ドヌーヴは「『ラ・ラ・ランド』は完全なるアメリカ映画。ドゥミの映画とはまったく違うわ」ときっぱりと言い切った。その言葉は、映画の背景にある監督の思想について語られたものだろう。ドヌーヴの美しさや切ない旋律に耳目を奪われる『シェルブールの雨傘』には、アルジェリア戦争への批判、キリスト教支配下で70年代までフランスで禁止されていた中絶問題、そして運命に抗いきれない人生というテーマがある。 



上演機械の少ない『ベルサイユのばら』は、この機会にぜひ劇場で!

© 1979 RIYOKO IKEDA/FILMLINK INTERNATIONAL



 日本からの依頼で映画化した『ベルサイユのばら』は、本物のベルサイユ宮をドゥミ空間にしつらえた美術、ソフィア・コッポラが『マリー・アントワネット』でそのまま真似たピンク・トーンの華麗なる衣装も見どころ。しかし、池田理代子漫画のロマンティックなエンディングを、オスカルが革命に傾く経緯をていねいに描きながら切ない幕切れに大胆に変更し、まさに労働者階級出身であるドゥミの視線からフランス革命を鮮やかに描き直してみせた。今回の上映では、めくるめく興奮に浸りながら、華やかなドラマに潜む社会派、フェミニストとしてのドゥミのメッセージも味わってほしい。




シネマ・アンシャンテ


上映スケジュール:

10月14日(土)~10月20日(金) YEBISU GARDEN CINEMA

11月 4日(土)~11月17日(金) 横浜シネマリン

10月28日(土)~11月 3日(金) 名古屋市 伏見ミリオン座

10月28日(土)~11月 3日(金) 大阪市 シネ・リーブル梅田

11月25日(土)~12月 8日(金) 京都シネマ

公式サイト






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