ジョン・ノイマイヤーの「椿姫」と聞くだけで、気持ちが高鳴るバレエファンは多い。演劇を見ているかのようなドラマ性、胸に迫るショパンのピアノ曲、主役を踊るダンサーは悲しい恋に翻弄される女性を女優さながらに演じ、優美なダンスの数々が見る人の心に忘れがたい感動を残す。このドラマティック・バレエの傑作を、その振付家の本拠地であるハンブルク・バレエ団が上演するとあっては、見逃すわけにはいかない。



「椿姫」

PHOTOGRAPH BY HOLGER BADEKOW



 原作はアレクサンドル・デュマ・フィスが描いた、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの悲恋の物語。舞台化作品としてはヴェルディ作曲のオペラが有名だが、ノイマイヤー版のバレエ「椿姫」こそ、小説世界を具現化した傑作だと考える人も多いのではないか。ノイマイヤーは繊細な振付けで登場人物の複雑な心理を描くと同時に、ショパンのピアノ協奏曲やバラードを全編に用いることで、19世紀のパリへ一気に観客を誘う。とくに、「バラード第1番」にのせて踊られる恋人たちの哀切なアダージョは息詰まるほどの美しさで、単独で演じられることも多い名シーンだ。



「椿姫」

PHOTOGRAPH BY HOLGER BADEKOW



 今回マルグリットを踊るのは、ハンブルク・バレエ団のプリンシパルでノイマイヤー作品を深く理解するアンナ・ラウデールとエレーヌ・ブシェ、そしてゲスト・アーティストとして、イングリッシュ・ナショナル・バレエからアリーナ・コジョカルが参加するのも大きな話題。コジョカルはこの夏の同バレエ団の日本公演を妊娠のためキャンセルしているので、その意味でもファンにとっては見逃せない舞台となる。




「ニジンスキー」(写真上・下)

PHOTOGRAPHS:  BY KRIAN WEST



 そして、もう一つの演目が「ニジンスキー」。伝説に満ちたバレエ界の“神”、ヴァスラフ・ニジンスキーの波乱の生涯を描いた、こちらもノイマイヤー渾身の作品だ。ロシアの芸術プロデューサー、セルゲイ・ディアギレフが立ち上げた「バレエ・リュス」のスターとして、20世紀初頭のヨーロッパを熱狂させた天才ダンサー、ニジンスキー。前半は刹那的な輝きを放つ華々しい時代を、後半は第一次世界大戦の恐怖の中で狂気に堕ちていく姿を、ノイマイヤー一流の内面描写と、深い解釈を込めたダンスで描き出す。ニジンスキーを踊るのは、こちらもバレエ団のプリンシパル。長年主役を踊りノイマイヤーの信頼も厚いアレクサンドル・リアブコと、若手の有望株アレクサンドル・トルーシュのふたりだ。それぞれがどんなニジンスキーを見せてくれるのか、楽しみにしたい。



ガラ公演「ジョン・ノイマイヤーの世界」

PHOTOGRAPH BY KIYONORI HASEGAWA



振付家 ジョン・ノイマイヤー

PHOTOGRAPH BY KRIAN WEST



 さらに、ノイマイヤー自らが構想・演出、語りも務めるというガラ公演「ジョン・ノイマイヤーの世界」も必見。ハンブルク・バレエ団総出演で数々のマスターピースが踊られる夢の舞台だ。初演では会場が総立ちとなり、SNSで評判が伝わって翌日の当日券売り場に長蛇の列ができたという伝説を聞けば、チケットは早めにおさえておきたくなる。ノイマイヤーの世界観が、それぞれに違う形で堪能できる注目の3演目は、2018年のバレエ界最初の大きな話題になりそうだ。



ハンブルク・バレエ団「椿姫」

公演:2018年2月2日(金)・3日(土)・4日(日)


ガラ公演「ジョン・ノイマイヤーの世界」

公演:2018年2月7日(水)


「ニジンスキー」

公演:2018年2月10日(土)・11日(日)・12日(月・祝)


会場:東京文化会館(上野)

料金:S席 ¥23,000、A席 ¥20,000、B席 ¥17,000、C席 ¥14,000、D席 ¥11,000、E席 ¥8,000(すべて税込)

※ NBS WEBチケット先行発売あり。詳しくは、公式サイトを参照

※10月7日(土)10:00より一斉発売


問い合わせ先

NBS チケットセンター

電話:03(3791)8888(平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)


NBS WEBチケット(要事前の会員登録)

http://www.nbs.or.jp/ 






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