ファッション・アイコン、トム・フォードが『シングルマン』で映画監督として鮮烈なデビューを飾ったのは2009年。待望の監督第2作『ノクターナル・アニマルズ』(ベネチア国際映画祭審査員グランプリ受賞)は、ギャラリー・オーナーのもとに音信不通だった元夫の小説が届けられることから始まる。フォードは、ヒロインを空虚な心を抱えたモダンアート界の成功者に設定して自らに引き寄せ、彼女の虚ろな瞳が次第に熱を帯びてゆく変化を、今ノリに乗る表現者エイミー・アダムスに託す。ジェイク・ギレンホールら共演陣の配役、ゴージャスな衣装と警告を秘めた美術も圧巻。そしてスレンダーなモデルに対するアンチテーゼともとれる驚きのオープニングから、独創的でスリリングなストーリーテリングが冴えわたる。人生の苦みを感じさせるラストの余韻に包まれながら、映画監督トム・フォードに早くも巨匠の風格を感じずにはいられなかった。



PHOTOGRAPHS: ©UNIVERSAL PICTURES



ノクターナル・アニマルズ

元夫から突然届いた小説に夢中になるスーザンのようすと、テキサスを舞台にした暴力的な小説のドラマが交互に描かれる。元夫の真意とは......!? 小説内ドラマに登場するアーロン・テイラー=ジョンソンはゴールデングローブ助演男優賞受賞、マイケル・シャノンもアカデミー賞助演男優賞ノミネートと、フォードの男優を操る演出力も光る。


11月3日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか公開。

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