1963年3月19日、ジョージア(旧グルジア)・トビリシ生まれ。華やかさと優れたテクニックで世界的に活躍するバレエダンサー。 PORTRAIT BY YASUYUKI TAKAGI

PROFILE IN STYLE

 つぶらな黒い瞳と黒い髪に、すらりとのびた長い手足。舞台に登場した瞬間にチ ャーミングな笑顔で観客の心をつかみ、優れたテクニックと情熱あふれる表現力で、 さらにその目を釘づけにしてしまう。天性のスター性を備えた大輪のバラのようなバレリーナ、ニーナ・アナニアシヴィリ。その人気に火がついたのは80年代のことだった......が、ここで思わず、指を折り返す。ということは、もう30年以上、現役プリマであり続けているということ!?
「確かに私は“稀有な”存在といえるわね。よくも悪くもだけど!」
 
「ドン・キホーテ」の明るく陽気なキトリは 「もっとも私自身に近い役」。真っ赤なコスチュームがよく似合い、超絶技巧の見せどころもたっぷり。
©STATE BALLET OF GEORGIA
 そう言って笑い飛ばす明るい人柄も、見事なプロポーションも、昔からまったく変わらない。通常、10代後半で注目され、20代で花開いても、30代になれば引退が視野に入ってくるのが、バレエダンサーの寿命というもの。まれに長く踊り続ける場合でも、身体に負担の大きい古典作品は避けるのがふつうなのに、彼女は50歳をすぎてもクラシック・バレエの頂点『白鳥の湖』を、何の苦もなく完璧に踊りきってしまう。大げさでなく、奇跡のようなバレリーナなのだけれど、ご本人にそう告げても「まあ、ありがとう!」と、まるでお世辞にこたえるようなリアクションで、当方の手を握ってくれる人のよさ。その秘訣を尋ねても、「日々のレッスンと、産んでくれた両親のおかげ。それと、家族のサポートもとても大きいわね」と、至極まっとうな答えが返ってくるばかり。 才能、努力、周囲の協力のほかに、秘密は何もないということのようだ。

 旧ソビエト連邦時代のグルジア(現ジョージア)の首都トビリシ生まれ。13歳のときにモスクワのボリショイ・バレエ学校に入り、1981年ボリショイ・バレエ団に進んでまもなく頭角を現し、主役を踊るプリマ・バレリーナとなった。ニューヨークが拠点のアメリカン・バレエ・シアター(ABT)にも所属し、日本を含めて世界中で踊ってきたが、2004年、ロシアから独立した祖国ジョージアの大統領から、ジョー ジア国立バレエ団を立て直してほしいと懇願され、同バレエ団の芸術監督に就任。 自らも踊り続けながら、附属のバレエ学校校長も兼任する生活となった。