©MORENA FILMS SL-MATCH FACTORY PRODUCTIONS-El OLIVO LA PELICULA A.I.E

 スペイン映画の傑作『エル・スール』(1983)で、優しい父に思い焦がれる娘を演じたイシアル・ボジャイン。名匠ビクトル・エリセらの薫陶を受けて女優から監督へと転身し、活躍している。その最新監督作『オリーブの樹は呼んでいる』は、樹齢2000年のオリーブの古木が売られて以来、しゃべらなくなってしまった祖父を案じ、孫娘が大切な樹を探して旅するロードムービー。木々とのつながりを通して再生する人々を描き、神木や木霊など自然に特別な思いを寄せる日本人の琴線にも触れる珠玉作だ。


「10年ほど前、夫のポールが高速道路の脇やオフィスの庭などに装飾的に置かれているオリーブの樹を見て、『どうして、こんなところにオリーブが?』と疑問を持ったことが始まりでした。オリーブは地中海地方の象徴的な樹であるにもかかわらず、2000年頃から不況のあおりを受け、バレンシア地方などで伐採が進んでいます。そのことを新聞で読んだポールはショックを受け、オリーブをテーマに映画を撮ろうよと言い続けていたんです。その後、彼の脚本が書き上がり、2015年からようやく撮影がスタートしました」


イシアル・ボジャイン

マドリード生まれ。子役として女優のキャリアをスタートさせ、ビクトル・エリセの『エル・スール』をはじめ、30作以上の映画・テレビ映画に出演。1995年、ケン・ローチ監督の『大地と自由』に出演した同年、監督デビューを果たす。カンヌ映画祭に出品した『花嫁の来た村』(1999)で高く評価され、2003 年の『TE DOY MIS OJOS』ではスペインのアカデミー賞であるゴヤ賞3部門で受賞。ガエル・ガルシア・ベルナルを起用した監督第3作『ザ・ウォーター・ウォー』(2009)はアカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表に選ばれた。


 彼女の夫であるポール・ラヴァーティは、大ヒット中の『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016)など、ケン・ローチ作品でも知られる名脚本家。ローマ時代から続く、命の象徴であるオリーブの樹と、“今”を悩み、生きるヒロインとの対比が秀逸な脚本に、ボジャイン監督が息を吹き込む。孫娘の無謀とも思える旅は、やがてインターネットによって支援の輪を広げていくが……。