BY MASANOBU MATSUMOTO
英国・ロンドンのファッション&テキスタイル博物館で、4カ月にわたり開催されていたファッションデザイナー、アナ・スイの展覧会『The World of Anna Sui』が、10月1日に幕を閉じた。1991年のデビュー時から現在までの彼女のクリエーションを包括した同展は、ファッション業界のみならず、音楽、インテリア、アートなど他ジャンルのクリエーターからも大きな称賛を得た。また、これが同博物館では初となるアメリカ人ファッションデザイナーの展覧会だったことも、アナ・スイが世界的に特筆されるべきデザイナーであることを物語っているだろう。
その『The World of Anna Sui』展のコンセプトを踏襲して編まれた同名の書籍が、日本語版で発売された。監修はファッションジャーナリストのティム・ブランクス。展示と同様に、アナ・スイのクリエーションを、ビクトリアン、モッズ、パンク、グランジ、アンドロジーニー、アメリカーナ、スクールガールといった13つのテーマに分けて紹介。それぞれのテーマについて、彼女自身が、体験や思いを織りまぜながら解説文を寄せている。アナ・スイ自身が、アナ・スイを紐解くという試みだ。
写真やスケッチ、アナ・スイがインスピレーションを受けた資料など、700枚におよぶイメージが収録されているのも本著の特徴。中には彼女のアパートやスタジオの風景写真もあり、マーク・ジェイコブスなどのデザイナーたちと交流する様子も垣間見える。また、彼女を敬愛して“スーパー・スイ”と呼ぶ親友であり、アナ・スイの初のランウェイにも登場したスーパーモデルのナオミ・キャンベルもエッセイを寄稿。彼女が、いかに多くの人たちに愛されながら、偉大なキャリアを構築してきたかを証明する貴重な一冊といえるだろう。
回顧展『The World of Anna Sui』のレポートはこちらから
「アナ・スイの回顧展がロンドンでスタート」へ