上から、エド・ウィーナー、ピーター・マッキィアリーニ、フィリス・スターリンの作品

COURTESY OF MET AND WEAR



 過去、美術館で自身が所有するアート作品を展覧会形式で披露した現代美術家の村上隆やインテリアデザイナーの片山正通などの名を借りるまでもなく、優れたクリエイターは、自身を代弁する特別なコレクションを持っていることが多い。ファッションブランド「N.ハリウッド」のデザイナー、尾花大輔の場合、それはジュエリーだ。


 彼がその蒐集をはじめたのは、自身も立ち上げに携わった今はなき古着の名店「ゴーゲッター」のバイヤーだったころ。買い付けなどで訪れた場所で出会ったオブジェのようなアートジュエリーに惹かれ、ひそかに集めてきたという。その膨大なプライベートコレクションの一部を『MET AND WEAR』と題し、東京・東日本橋のギャラリー「gallery-s」で展示、販売も行っている(一部はaskプライス)。



N.ハリウッドのデザイナー、尾花大輔

PHOTOGRAPH BY KIYOHIDE HORI



 今回お披露目された私物ジュエリーは、スペースの雰囲気やサイズ感に合わせて選ばれたミニマルなデザインのもの30点。1950年代から90年代までに制作されたデザイナーズから、アノニマスなもの、ネイティブアメリカンジュエリーの源流にあるメキシコ・タスコ産のシルバーアクセ、またミュージアムショップで販売されていたユニークなスーベニアまでが並ぶ。ただし、“バイヤー時代から集めているもの”といっても、どこぞのヴィンテージショップや蚤の市で売られているような代物ではない。



ルイス・ブースのハンドメイドのアクセサリー

PHOTOGRAPH BY MASANOBU MASTUMOTO



(手前)エットレ・ソットサスがステーショナリーブランド、アクメのためにデザインしたブローチ

(奥)ジョージ・ジョンセン社のデザイナー 、ジョージ・ジョンセン氏の作品

PHOTOGRAPH BY MASANOBU MASTUMOTO



 たとえば、彫刻家で、アクセサリーデザインのモダニズムを推進したピーター・マッキィアリーニのブローチ。そしてその系譜を示すように、彼のファクトリーで働くピーターの子孫、ダニエル・マッキィアリーニやエマ・マッキィアリーニの作品も展示されている。また、この数年、デザインシーンだけでなく、ファッション領域でも再評価されているデザイン集団「メンフィス」の創設メンバー、エットレ・ソットサスやナタリー・ドゥ・パスクスが手がけたアクセサリーもある。彼が見た目の美しさや感覚だけでなく、ジュエリーやデザインの歴史やマーケットを深く読み解きながら、プロさながらに蒐集を楽しんでいることは明らかだ。


 尾花本人は、普段からあまりジュエリーを身につけないタイプだという。だからこそ、彫刻作品のようにモノとしての存在感をもつアートジュエリーに惹かれたのか。所有者自身をも深く想像させる豊かなコレクションが、ここにある。




MET AND WEAR

会場:gallery-s

住所:東京都中央区東日本橋3-12-6 2F

会期:〜2018年3月6日(火)

営業時間:12:00〜20:00

休廊日:日曜、祝日

電話:03(6661)2469 






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