かつて、祖母の作る手縫いのキルトに魅了されたことがあるという、ロエベのクリエイティブ・ディレクター、ジョナサン・アンダーソン。そのときの驚嘆した気持ちと同じ思いから生まれたのが、新しいロエベのカプセルコレクションだ。1年近くをかけて、彼とそのチームは世界中からファブリックを扱う優れた職人を探し出した。セネガル南部のマンジャク織りから、インド・ニューデリーのリボン刺繍まで、最終的に100以上の工房と提携し、50種の特別注文のタペストリー(そして同じデザインのトートバッグ12種)が誕生した。このカプセルコレクションは、4月下旬にイタリア・ミラノで開催されるミラノサローネ国際家具見本市で披露される予定だ。



ロエベのカプセルコレクションのタペストリーより。

このうち2作品は、ロエベのショップのウィンドウを描いた古いイラストを使用。

漁をする男と魚の柄が連なった2作品は、20世紀初頭の布地をもとに作成。

イタリア・コモの職人による、写真のパッチワークと刺繍が施されたものや、

スペイン・バルセロナの工房による、

シアリング素材のマルチカラーストライプが施されたもの(下段・左から2番目)も

すべて参考商品 www.loewe.com



 どのタペストリーにもそれぞれのストーリーがある。例えば、京都で作られたパッチワーク(写真下段、右から2番目)には、何百年も前から続く日本の刺繍技法である刺し子が用いられている。農民の間に伝えられてきたこの技法は、藍色の木綿に白い糸で刺された小さな縫い目(刺し子)が特徴だ。ほかのいくつかの作品は、フランスのオービュッソンで、父と息子が運営する織り機一台の工房がデザインを手がけた。デジタルパターン発生機を使って、ジョナサンのコレクションである19世紀から20世紀初頭に撮られたセピアトーンの写真を複写して用いている。その中のひとつ、3人の裸の人物の腰の部分を、手染めのマルチカラーストライプがカバーしているタペストリーは、母と息子で営まれるムンバイの工房で制作されたものだ。



 ジョナサンにとって、これはクラフツマンシップの素晴らしさを讃えるためのものであり、現代のテンポの速い世界において、時こそがもっとも贅沢なものかもしれないということを、思い出させてくれるものでもある。「我々はデジタルでなにもかも消費できてしまい、立ち止まることがないのではないか。」と彼は言う。「そういう時代に、このような芸術性がいまだ生まれ続けているというのは、ものすごいことだと思うのです」






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