メゾンの“ペルレ”を思わせる球は、“Tsubomi”と名付けられ、芽吹きの季節を告げるシンボルのよう
©Van Cleef & Arpels

 東京・銀座、夜8時30分。閉店後のヴァン クリーフ&アーペル銀座本店のウィンドウに、不思議な光が現れる。右のウィンドウには球形、左のウィンドウには直線の光が、ある時はピンボールのように躍動しながら、またある時は滑るように、流れるように、刻々と表情を変える。これはヴァンクリーフ&アーペルと光のアーティスト MASARU OZAKI氏のコラボレーションによって実現したアートディスプレイ(光の造形作品)。自然から多くのインスピレーションを得てきたメゾンが、自然と人の関わりを想うOZAKI氏のアートプロジェクト[Light Tree Project]に共感して実現したものだ。メゾンの“ペルレ”を思わせる球は、“Tsubomi”と名付けられ、芽吹きの季節を告げるシンボルのよう。優しく温かな光で、見る人の心を暖め、自然体で胸に響く。普段は静まり返っている閉店後のウィンドウに、生命が通ったかのように感じられる。

©Van Cleef & Arpels

 このアート作品の作者であるOZAKI氏は、モーショングラフィックスを原点としながら、独自の世界観を展開するクリエイター。今回の作品の制作にあたっては、光の動きを追って映像に落とし込む作業から、木曽檜を使った木組みのディスプレイまで、1人で作り上げたという。これはまさに、職人の手作業による物創りにこだわり続けるヴァンクリーフ&アーペルに通じる姿勢。両者のコラボレーションは、必然だったのかもしれない。
 メゾンの店頭に置かれた2作品と、スペシャルサイト[Light Tree Project Web]で配信される“TSUBOMI”が三位一体となって、OZAKIワールドを創り出す。3作品のベースには、「目に見えるテクニックを誇るのではなく、目に見えない部分、たとえば背後にあるストーリーを感じてもらいたい」という想いがある。見えないところにこそ、本質的な美が宿るのではないか、と彼は問いかけている。
幼い頃に、手品に魅了されて魔法使いになりたいと願ったOZAKI氏。しかし両親から手品セットをプレゼントされたことで、魔法(のように見えたこと)の仕組みを知り、夢から覚めてしまったというエピソードがあるそうだ。夜のウィンドウに現れる彼の作品を通して、私たちはそれぞれの夢をみるのだ。


ヴァン クリーフ&アーペル銀座本店 アートコラボレーション ディスプレイ“TSUBOMI”
開催期間:開催中〜4月18日(火)
時間:20:30〜26:00(翌日2:00)
開催場所:ヴァン クリーフ&アーペル銀座本店1階正面ウィンドウ

  • 1