ピノ・ノワールのふくよかさとシャルドネの透明感。

「ルイナール ロゼ」は特別な日にふさわしい

PHOTOGRAPH BY TOMOKO SHIMABUKURO

「ワインを選びたいけれど、何をどう選べばいいのかわからない」――。そういう人は意外に多いのではないだろうか。確かに、星の数ほどあるワインの中から1本を選ぶのは、まさしく至難の業といえる。だが、その中には、“絶対にはずさない1本”が確実に存在するのだ。

  その筆頭ともいえるのが、シャンパーニュの宝石と呼ばれる「ルイナール」。丸みを帯びたクラシカルなボトルが美しく、なにより“シャンパーニュ”というだけで気持ちが華やぐ。ヨーロッパの王室や上流階級の御用達ブランドとして知られ、セレブの“お気に入り率”も高い。その理由は、エレガントでピュアな味わいにある。たとえば、シャルドネのみで造られる「ルイナール ブラン・ド・ブラン」は、白い花や桃などのフルーティーなアロマが特徴。プルミエ・クリュ(1級畑)の選りすぐりのシャルドネを使用し、まろやかな酸味と清らかな果実味がきわだつ、“シャルドネハウス”の異名を持つルイナールならではのスタイルを生み出している。

 

  数あるシャンパーニュの中でも突出した優雅さをもつ「ルイナール」だが、今回着目したいのは、実はロゼ。「ルイナール ロゼ」はシャルドネ45パーセント、ピノ・ノワール55パーセントのベースワインに、赤ワイン18パーセントを加えて造られるが、チェリーなど赤いベリーのアロマとパン・デピスのようなスパイシーなニュアンスが魅惑的。少しサンゴがかったゴールドピンクも美しい。特筆すべきは“シャルドネの存在感”で、深みのある果実味の奥には、シャルドネの清冽さがしっかりと感じられる。ロゼ・シャンパーニュは黒ブドウのピノ・ノワールを使用して造られるので、ピノ・ノワールの魅力がストレートに感じられるものが多いが、「ルイナール ロゼ」にはピノ・ノワールのふくよかさとシャルドネの透明感が同時に感じられ、まさに“シャルドネハウス”の面目躍というべき味わいだ。

「ルイナール」の奥深い魅力は、その“歴史”にもある。創設は1729年、世界最古のシャンパーニュ・メゾンでもあるのだ。同社が誇る白亜の「クレイエル」は、ガロ・ロマン時代の石切り場を利用した地下カーヴで、2015年7月、「シャンパーニュの丘陵 メゾンとカーヴ」としてユネスコ世界遺産に登録された。また、「ルイナール」は時代の先駆者でもあった。「ロゼ」を造ったのもかなり早く、メゾンの文献には、1764年にドイツのステレリッツ(現ノイストレリッツ)の貴族に「ロゼ60本を含む120本のシャンパーニュを送った」ことが記載されている。記録には、ロゼの色合いは「ヤマウズラの目の色」とあり、ここから当時のロゼが果皮を果汁に浸して造られる「セニエ方式」であったことが窺えるという。

  ちなみに、日本に「ルイナール」が初めて入ってきたのは1861年。時代が明治に変わり、鹿鳴館外交が行われたのが1883年以降のことだから、もしかしたら、明治を彩った人物たちが飲んだかもしれないと想像すると、「ルイナール ブラン・ド・ブラン」や「ルイナール ロゼ」の味わいがひと味違って感じられるはず。