数あるイタリアワインのなかでも、トスカーナの「ビービー・グラーツ」は異彩を放つ存在だ。在来品種を使用したワインは確かに“トスカーナらしい”のだが、その奥には「ビービー・グラーツ」ならではの強い個性が感じられる。たとえば、“赤ワインの中にあるキレのある酸味”や“力強くありながらも繊細な果実味”など、どこか矛盾をあわせもった独特の魅力を持っている。「ビービー・グラーツ」のワインが“アーティスティック”と評されるゆえんだ。



ビービー・グラーツ

「ビービー・グラーツ」オーナー兼ワインメーカー。フィレンツェにて芸術一家に育つ。

アートを学んだ後、ステンドグラスの制作や両親が所有するシャトーでの

イベント運営などに携わっていたが、ワインに魅せられ、

2000年に「テスタマッタ」を初リリース。

「ヴィネクスポ」のブラインドテイスティングで1位を獲得、一気に世界の表舞台へ。

ラベルデザインはすべて自身の手によるもの。



 造り手は、ワイナリーと同名のビービー・グラーツ氏。1990年代後半からワイン造りを始めたが、実はそれまで、まったくワインを造ることなど考えていなかったという。もともとアートスクールで彫刻を専攻し、卒業後はステンドグラスの職人として活動していた。人生の風向きが変わったのは、自家畑のブドウでファミリー用のワインを造っていた頃のこと。ここには樹齢の高い樹が多く、上質なワインを造り出すことができたという。グラーツ氏はみずからが造った味に魅せられ、本格的なワイン造りを志す。


「自分が造ったワインを飲んで、『やりたいことはこれだ!』と気づきました。私はアーティストとして活動していましたが、作品を生み出すだけの日々は、『何かが違う』と感じていました。でも、ワインを造り始めてから、なんというか、私が求めていたアートと職業がピタッとハマるように思えたのです。人の手が作り出したものを、人が飲んでくれる。そのコミュニケーションが新鮮でした」



イタリア、ティレニア海に浮かぶジリオ島の自家ブドウ畑で。

土着品種や古木の畑に対するクラーツ氏の思いは深い

COURTESY OF BIBI GRAETZ



 そして、グラーツ氏は、コンサルタントとしても活躍していた醸造家のアルベルト・アントニーニ氏の助言を受け、「テスタマッタ 2000」を初リリース。すると、このワインがワイン専門誌『ヴェロネッリ』で95点という高い評価を受けた。さらに、友人の勧めで世界最大のワイン見本市「ヴィネクスポ」に出展すると、ブラインドテイスティングを行ったワインの中から「テスタマッタ 2000」が1位に選ばれたのだ。

「最初は、まったく信じられませんでした。名もないワインでしたからね。でも、正直、その夜はうれしさのあまり一睡もできませんでした(笑)」


 その後、彼のワインは世界から注目を浴び、“アーティスティックな高級ワイン”として認識されるように。なかでも、トップラインの「コローレ」は“幻”とも評されるほどの存在だ。グラーツ氏は、ワインを「直感で造る」と語るが、それは彼にとって、「真実は何かを見据えるために大切なこと」なのだという。



(左から)「コローレ 2011」<750ml>¥140,000

コロリーノ、カナイオーロ、サンジョベーゼをブレンド。

アロマティックで繊細な果実味。余韻が長く、エレガント。

「テスタマッタ 2012」750ml>¥29,400

サンジョベーゼ100%。豊かな果実味とキレのある酸味

「ブジーア」750ml>¥12,000

アンソニカ100%。ミネラルが豊かで海のニュアンスを持つ。酸味も清らか



「ワインとアートは、美しいものを見極めるという点でよく似ています。私は美しいブドウを見れば、それがどんなおいしいワインになるかが直感でわかる。あとはていねいに造るのみ。私にとって、ワインを造ることは自分を表現することでもあります。だから、『なんて面白いワインなんだ!』と思っていただけたら最高ですね(笑)」


 彼の才能は、確かに天賦のものに違いない。だが、それをのびやかに成長させたのは、ほかならぬ彼自身の“まっすぐな視線”なのだろう。「ビービー・グラーツ」は、アーティスティックであることはもちろん、加えて、造り手の人間性までもが如実に反映されたワインなのだ。




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