愛猫家の画家として知られる猪熊弦一郎。スケッチから抽象画、そして具象と抽象を融合させたような晩年の作まで、無数の猫の絵を残した彼の展覧会が開催されている

BY MASANOBU MATSUMOTO

画像: 題名不明、1987年、インク・紙 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵

題名不明、1987年、インク・紙
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵

 物音に驚き、目を丸くしていっせいに振り向く。上機嫌のときは、しっぽを立てながら飼い主にすり寄る。と思ったら、もうお気に入りの場所に移動してグルーミングに夢中だ。現在開催中の『猪熊弦一郎展 猫たち』には、そんな"猫好きのツボ"をついた絵画が並んでいる。多いときは12匹もの猫と暮らし、数えきれないほどの猫の絵を描いた"愛猫家の画家"。近年の猫ブームで再注目される猪熊弦一郎だが、じつはアカデミックな美術シーンでは、絵画のモダニズムを実践した画家として讃えられてきた。

画像: 《青い服》 1949年、油彩・カンヴァス 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵

《青い服》 1949年、油彩・カンヴァス
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵

画像: 題名不明、1954年頃、油彩・カンヴァス 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 PHOTOGRAPHS: © THE MIMOCA FOUNDATION

題名不明、1954年頃、油彩・カンヴァス
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵
PHOTOGRAPHS: © THE MIMOCA FOUNDATION

 戦前、ヨーロッパに遊学してアンリ・マティスに師事。そして、フォーヴィスムの影響を受けた具象画から、一筆書きのようなシンプルな線画、幾何学的な抽象画、具象と抽象を融合した晩年の作へと、常に新しい絵画のあり方を探った。だからほかの画家と比べ、作風は多彩。ことに彼の愛した猫の絵には、それを顕著に見ることができる。絵画の技法としても個性的な猫たち。本展で観られるその姿は、単なるモチーフではなく、深く愛されてきたパートナーとして画家の人生を物語る。

『猪熊弦一郎展 猫たち』
会期:3月20日(火)~4月18日(水)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
開館時間:10:00~18:00
(金・土曜は~20:00 ※入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般 ¥1,300、大学・高校生 ¥900、中・小学生 ¥600
TEL. 03(5777)8600(ハローダイヤル)
公式サイト

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