現代美術家のマウリツィオ・カテランとグッチのアレッサンドロ・ミケーレがタッグを組んだ展覧会が、上海で開催中だ。コピー文化の象徴ともいえる都市で行われている展覧会のテーマは「オリジナルとコピー」。38名の参加アーティストとともに、この永遠の命題に二人が出した答えとは?

BY JUN ISHIDA

 マウリツィオ・カテランとグッチのアレッサンドロ・ミケーレ。アートとファッションという異なる分野で活動する彼らだが、両者には共通点がある。まず一つには、イタリア人であること、そして共に既成概念にとらわれない、さらにはタブーとされてきたことに嬉々として取り組む冒険者であること。カテランとミケーレ、この二人の異端児がタッグを組んだ現代美術の展覧会が、中国・上海の〈Yuz Museum〉で開催中だ。

画像: マウリツィオ・カテラン(左)とアレッサンドロ・ミケーレ COURTESY OF GUCCI

マウリツィオ・カテラン(左)とアレッサンドロ・ミケーレ
COURTESY OF GUCCI

 カテランがキュレーションを務めグッチが主催する展覧会の名は「The Artist is Present」。このタイトルは、2010年にパフォーマンス・アーティストのマリーナ・アブラモヴィッチがMoMAで行い大きな話題を呼んだプロジェクトと同じものである。そして展覧会開催前に、NYやロンドンなどの都市に出現した巨大なアート・ウォールに描かれたのもまた、アブラモヴィッチの同イベントのメインビジュアルだった。では、カテランがアブラモヴィッチを起用した展示を企画したのか、といえばそうではない。

展覧会のテーマは「アプロプリエーション(盗用芸術)」。アート、そして現代社会におけるコピーとオリジナルの関係だ。これまでも、粘着テープで壁に貼り付けられたギャラリスト、隕石が直撃したローマ法皇の像など、アート界や既存の権威を皮肉ったスキャンダラスでユーモア溢れる作品を発表してきたカテランだが、今回はアートの世界において今なお神聖視されている“オリジナリティ”の概念に真っ向から取り組んだというわけだ。

アプロプリエーションという概念自体は1980年代に生まれたものである。「すでに『常識』と化した絵画作品や広告写真を模造、模写してそのまま援用する」(椹木野衣『増補シミュレーショニズム』ちくま学芸文庫)という現代アートの手法の一つで、遡れば便器をアート作品として展覧会に出品したマルセル・デュシャン、木の板で作ったブリロ・ボックスを彫刻作品として展示したアンディ・ウォーホルの流れをくむ。80年代、マス・メディアを通じて大量に流されるイメージ群をうけて行われたアプロプリエーションだが、イメージの複製、消費、そして加工は、デジタル時代に突入した現代においてさらに加速している。カテランは、この極めて今日的であるオリジナルとコピーの関係をどう捉えているのか。展覧会のオープニングを終えた本人に聞いた。

 

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