良質な展覧会は、いつだって新しいインスピレーションを与えてくれる。美術館や博物館、ギャラリーで現在開催中のものから、ぜひ訪れたい展覧会をT JAPANが厳選。2月のリストは、成熟した女性アーティストたちの個展

BY MASANOBU MATSUMOTO

ソフィ・カル個展
『私の母、私の猫、私の父、この順に』|ペロタン東京
『なぜなら』|ギャラリー小柳

 ソフィ・カルは、写真とテキストで構成される自伝的作品、あるいは他者へのインタビューをもとにした作品で知られる、フランスを代表するアーティストだ。1月5日より原美術館での開催中の展覧会に続き、ギャラリー小柳、ペロタン東京でも彼女の個展が始まっている。

 ギャラリー小柳で展示されるのは、国内初公開となる《なぜなら》シリーズ。一風変わったコンセプチャルな写真作品群だ。それぞれの写真は、「なぜなら」で始まる、カルがその写真を撮った理由を印字したカーテンで覆われており、鑑賞者はそれをめくって写真を眺めることになる。本来、作品の裏側に隠されている「なぜなら」をあらかじめ知らせることで、写真を観るという行為を一新させるもくろみだ。

画像: 《Mes Mains》 2018 デジタル写真 27×42cm © SOPHIE CALLE / ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2019.

《Mes Mains》2018 デジタル写真 27×42cm
© SOPHIE CALLE / ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2019.

 一方、ペロタン東京では、「Autobiographies(自伝)」シリーズから、家族の「死別」をテーマにした近年の3部作をメインに展示。最愛の母、猫、父の死に直面した時のカルの現実感を、写真と日記から引用したテキストなどで表現している。

 特にユニークなのは、愛猫の死についての作品《スーリー・カル》。カルは愛猫スーリー(フランス語で“ねずみ”の意味)の死後、友人であるミュージシャン、カミーユとローリー・アンダーソンに愛猫へのオマージュ・ソングを依頼した。その“レクイエム制作の輪”に、ボノやクリストフ、ファレル・ウィリアムス、また新人のミュージシャンやメタルロック系のバンドも加わっていき、結果、30ものアーティストによる追悼コンピレーション・アルバムが仕上がったのである。ギャラリーでは、カルがミュージシャンらに資料として渡したスーリーに関するテキストとポートレイト、また愛らしいスーリーの写真をプリントしたレコードを展示。その音源も視聴することができる。

画像: ペロタン東京での展示風景 © SOPHIE CALLE / ADAGP, PARIS & JASPAR,TOKYO, 2019. COURTESY PERROTIN, PHOTOGRAPH BY KEI OKANO

ペロタン東京での展示風景
© SOPHIE CALLE / ADAGP, PARIS & JASPAR,TOKYO, 2019.
COURTESY PERROTIN, PHOTOGRAPH BY KEI OKANO

『私の母、私の猫、私の父、この順に』
会期:〜3月10日(日)
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9
営業時間:11:00〜19:00
休廊日:日曜、月曜
電話: 03(6721)0687
公式サイト

 
『なぜなら』
会期:〜3月10日(日)
会場:ギャラリー小柳
住所:東京都中央区銀座1-7-5 9F
営業時間:11:00〜19:00
休廊日:日曜、月曜、祝日
電話: 03(3561)1896
公式サイト

 

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