今回のリストは、ル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館で開催中の『ル・コルビュジエ 絵画から建築へーピュリスムの時代』、日本における現代アートの祭典『六本木クロッシング 2019展:つないでみる』。そして、余命宣告を受けた佐藤雅晴の個展『死神先生』

BY MASANOBU MATSUMOTO

『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ
ーピュリスムの時代』|国立西洋美術館

 2016年にユネスコ世界文化遺産に登録された国立西洋美術館。ル・コルビュジエが東アジアで唯一設計したことでも知られるこの建物で、“ル・コルビュジエの原点”をテーマにした展覧会が開かれている。

 いまでは“近代建築の巨匠”という呼称がすっかり定着していることもあって意外だが、その原点のひとつは絵画だ。美術学校で装飾芸術を学んだ彼は、本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレの名義のもと、地元スイスで建築家としてのキャリアをスタートした。しかし芸術への憧れは止まず、パリへ移住。そこで画家アメデ・オザンファンと出会い、本格的に油絵の制作を始めた。

 1918年末には、オザンファンとともに書籍『キュビスム以後』を出版。そこでピカソやブラックらによる「キュビスム(立体派)」を批判し、明確な線や形、簡潔な画面構成による“秩序と調和”を重視した絵画スタイル「ピュリスム(純粋主義)」を提唱するに至った。

画像: パリ、ジャコブ通りの自宅におけるル・コルビュジエと、自身の作品《多数のオブジェのある静物》(部分)1923年 パリ、ル・コルビュジエ財団 © FLC/ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2018 B0365

パリ、ジャコブ通りの自宅におけるル・コルビュジエと、自身の作品《多数のオブジェのある静物》(部分)1923年 パリ、ル・コルビュジエ財団 
© FLC/ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2018 B0365

 ル・コルビュジエの創作の礎である「ピュリスム」時代の絵画はもちろんのこと、本展には、ピカソら「キュビスム」の名作も多く飾られている。じつのところ、この「キュビスム」も、ル・コルビュジエの建築家としての資質に大きな影響を与えたムーブメントのひとつだ。当初、彼は「キュビスム」を批判し踏み台にしたものの、のちに同調。しだいに「キュビスム」の作家たちの幾何学的で立体的、空間的な表現に惹かれ、刺激を受け、自身の芸術観を更新させていったのである。

 会場には、ル・コルビュジエが手がけた建築の模型や図面、写真資料、またインテリアなども展示されており、彼の絵画に基づいた芸術理念が、建築デザインにも応用されていったことも伝える。こうして見ると、彼の代表的建築のひとつ「サヴォア邸」には絵画的な着想が感じられて面白い。

画像: シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》1924年 油彩、カンヴァス 81×100cm パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2018 B0365

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》1924年
油彩、カンヴァス 81×100cm パリ、ル・コルビュジエ財団
©FLC/ADAGP, PARIS & JASPAR, TOKYO, 2018 B0365

画像: ル・コルビュジエ「サヴォワ邸」(1928-31年)

ル・コルビュジエ「サヴォワ邸」(1928-31年)

 国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが手がけた世界でも数少ない美術館建築である。また、彼が長年追求した「無限に成長する美術館(展示空間が螺旋状に伸びているので、必要に応じて外側へ増築することでスペースを確保できる)」というコンセプトを体現した場でもある。芸術に憧れた無名な建築家が、巨匠ル・コルビュジエに変貌していくーーその間、彼が探求し実践した絵画をここで鑑賞できるのも、本展の醍醐味だ。

『国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代』
会期:〜5月19日(日)
会場:国立西洋美術館 本館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金・土曜は〜20:00)
※入館は30分前まで
休館日:月曜(ただし3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
観覧料:一般 ¥1,600、大学生 ¥1,200、高校生 ¥800、中学生以下無料
電話: 03(5777)8600(ハローダイヤル)
公式サイト

 

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