アジア最大級のアートフェア『アートバーゼル 香港』が3月27日に開幕する。市内の美術館やギャラリーと協業しながらダイナミックな香港のアートシーンを体験させる、このフェアの見どころと傾向についてフェア・ディレクターのアデリン・ウーイに話を聞いた

BY MASANOBU MATSUMOTO

画像: 2018年の会場風景。美術家、村上隆が主宰するカイカイキキギャラリーのブースより © ART BASEL

2018年の会場風景。美術家、村上隆が主宰するカイカイキキギャラリーのブースより
© ART BASEL

 3月末の香港は、現代アートに沸く。アジア最大級のアートフェア「アートバーゼル 香港」が開かれるからだ。世界的なアートギャラリーが作品を出品し、著名な学芸員やジャーナリスト、コレクターたちがこぞって集まるアートバーゼルのアジア版ーーそうと聞くと、“プロの情報収集・交換の場”、“目利きたちが作品を買う場所”と思いがちだ。しかし会場を訪れると分かるだろう。近年は少し趣が異なり、アート入門者も十分満喫できるように、門戸が開かれている。

 実際に、フェアのメインで、各ギャラリーがブース形式でイチオシの作品を紹介する「ギャラリー」部門に加え、キュレーションされた個展や2人展など企画型の展示、トークショー、また映画作品に特化した「フィルム」部門など見どころも豊富だ。特に、広く注目を集めるのが、毎年、国際的に活躍する作家が大型インスタレーション作品を展示する「エンカウンターズ」部門。今年は、日本の塩田千春や韓国のイ・ブルの作品、また香港を筆頭に都市の風景をモチーフにしたエルムグリーン&ドラッグセットの作品など12の展示が予定され、うち8作品はこのアートバーゼル 香港が初公開の場になるという。こうしたスケールが大きく、視覚的インパクトのある作品群は、現代アートに馴染みのない人がその醍醐味を体験するのにうってつけとも言えるだろう。

画像: エルムグリーン&ドラッグセット 《City in the Sky》 Kukje Gallery, Massimo De Carlo, Perrotin COURTESY OF THE ARTISTS AND THE GALLERIES

エルムグリーン&ドラッグセット《City in the Sky》
Kukje Gallery, Massimo De Carlo, Perrotin
COURTESY OF THE ARTISTS AND THE GALLERIES

「(敷居の高い)“フェア”というよりは、“アートフェス”に行く感覚で楽しんでほしい」とアートバーゼル 香港を統括するフェア・ディレクターのアデリン・ウーイ。特に欧米のようにアートを楽しむ文化が浸透していないアジアにおいて、アートと市民のタッチポイントを増やすことも大切だという。「アートバーゼル 香港でも、フィルム・プログラムは無料で開催しており、チケットがなくても、誰でも作品を鑑賞することができます。今年は、いま世界的に注目を集める中国人作家リウ・シャンドンに関するドキュメンタリーなどが上映予定。また香港に新しくできる現代美術館M +(エムプラス)とコラボレーションし、中国人ビデオアーティスト、チャン・ランが、“ライブ・シネマ”と称されるユニークな作品を披露します。これは、チャンが制作したサイレント映画を上映しながら、ミュージシャンのシャオ・ヤンポウが生演奏する一回性のもので、普段はめったに鑑賞できないこうした作品と出会えるのもアートバーゼル 香港の魅力です」と語る。

画像: ADELINE OOI(アデリン・ウーイ) マレーシア生まれ。英国セントラル・セント・マーティンズでファインアートを学び、2006年、クアラルンプールを拠点とするValentine Willie Fine Art gallery のキュレーターに。アジアの美術を専門に、多くのプロジェクトや展覧会を企画。2014年、アートバーゼル/ディレクター・アジアに就任した © ART BASEL

ADELINE OOI(アデリン・ウーイ)
マレーシア生まれ。英国セントラル・セント・マーティンズでファインアートを学び、2006年、クアラルンプールを拠点とするValentine Willie Fine Art gallery のキュレーターに。アジアの美術を専門に、多くのプロジェクトや展覧会を企画。2014年、アートバーゼル/ディレクター・アジアに就任した
© ART BASEL

 ウーイがフェア・ディレクターに就任して以降、アートバーゼル 香港は、“香港らしさ”ひいてはアジアという地域性を大切にし、他のフェアとは異なるオリジナリティを打ち出してきた。「全体として、アジアからの参加ギャラリーが増加傾向にあります。もちろん欧米からのギャラリーも継続して出展。また今年はアメリカの老舗画廊マシュー マークス ギャラリーやポーラ・クーパー ギャラリーなども初参加します。こうした、昔ならばアジアのアートマーケットに魅力を感じていなかったであろうギャラリーが、いま改めて、香港を重要な場所だと認識しているということでしょう」

 そしてアートバーゼル 香港には、“アジアにおけるクリエイティブ・プラットフォーム”としての新しい役割があることを彼女は強調する。それは、今年のアートバーゼル 香港においても、2つの大きなトレンドとして表れている。

 

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