ロサンゼルスでの大規模な回顧展が予定されている日本人アーティスト、奈良美智。自身が音楽から得たものについて話してくれた

BY NICK MARINO, PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA, TRANSLATED BY MASANOBU MATSUMOTO

画像: 奈良は、最愛のレコードコレクションに加えて、今もCDを持っているほど熱狂的な音楽ファンだ

奈良は、最愛のレコードコレクションに加えて、今もCDを持っているほど熱狂的な音楽ファンだ

 そういったキャラクターたちの多くは、ロサンゼルス群立美術館で新たに開かれる、彼の大規模な回顧展で見ることができる(美術館は現在休館中。展覧会は、再開されてすぐに開幕する予定だ)。音楽からのインスピレーションに重点を置き、奈良の過去36年の間に作られた100を超える作品が集められるという。「クラスの同窓会みたいな感じでしょうか」と現在60歳になった奈良は話す。「子どもたちの同窓会というよりは、孫たちの同窓会に近いかもしれませんが」

 キュレーションは吉竹が務め、ドローイングや絵画、ウィルシェア・ブールバード(註:ロサンゼルスの主要な幹線道路)沿いの美術館の外側に設置された高くそびえる常用樹を頭に生やした約8メートルの女の子のブロンズ彫刻に加え、奈良の私蔵コレクションから数百枚のアナログレコードアルバムのジャケットも展示される。展覧会の限定カタログには、奈良のお気に入りのアメリカの筋金入りのインディーバンド、ヨ・ラ・テンゴによる6曲(うち5曲はカバーで、1曲はオリジナル)を収録した特製アナログレコードがついている。ちなみに、そのB面は、カレン・ダルトンとドノバンといったアーティストによる往年のフォークソング集だ。

 展覧会は、音楽とアートが融合した一例としてみることができるが、奈良にとって、そもそもこの2つの要素は別々に切り離されたものではなかった。「耳から入ってきた音楽が、手からまっすぐに出ていく。そのような感覚で僕は絵を描いています」と奈良は言う。

画像: 「ここを訪れた人には、何か変わったものに見えるようです」と奈良。「どうして色々な場所に変わった人形をたくさん置いているの? とよく聞かれます」

「ここを訪れた人には、何か変わったものに見えるようです」と奈良。「どうして色々な場所に変わった人形をたくさん置いているの? とよく聞かれます」

 現在、奈良は幼少期に住んでいた家から南に約480キロほどの位置にある栃木県の山の多い田舎町に住んでいる。彼が制作を行う風通しの良い白壁の自宅スタジオは、おもちゃのフィギュアや、ぶら下がった尾っぽが振り子のように揺れる猫の時計などでいっぱいだ。彼の所属ギャラリーであるブルーム&ポーの翻訳者を介して、彼は日本語でわれわれ『T magazine』のアンケートに答えてくれた。

―― あなたの今日のスケジュールはどんな感じですか? どのくらい寝て、どのような仕事を予定していますか?

 僕は普段、人と接する必要がないような生活をおくっています。だからスケジュールは滅茶苦茶です。たとえば、昨日は夜中の12時に起きました。ただ、たいていの日は8時間から10時間寝ています。

―― 1日に何時間くらい、作品制作を行っていますか?

 気分の良い日は、起きてから寝るまでずっと仕事をしているかもしれません。僕は一日中スタジオで過ごします。本を読んだり、散歩に出かけたりして、仕事をまったくしない日もあります。

画像: 奈良のスタジオの倉庫にて

奈良のスタジオの倉庫にて

―― あなたがいちばん最初に作ったアート作品は?

 6歳のときに、紙芝居を作りました。僕と僕の猫が北極点まで一緒に旅をして、そのあと南極点まで下っていく、という物語でした。

―― 今まででいちばん最悪だったスタジオは?

 若いころに使っていたスタジオは本当に酷いものでした。でもそういった状況もすべて楽しんでいました。たとえばドイツに住んでいたころ、僕のスタジオにはシャワーがありませんでしたが、いつもプールに行き、そこで髪の毛を洗っていました。

―― 最初に買い手がついた作品は何ですか? またいくらでしたか?

 24歳のとき、とても小さなスペースで展覧会を開いたのですが、そこに展示していたレコードジャケットほどの大きさの絵です。だいたい20ドル、2000円くらいで販売しました。

 

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