ロサンゼルスでの大規模な回顧展が予定されている日本人アーティスト、奈良美智。自身が音楽から得たものについて話してくれた

BY NICK MARINO, PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA, TRANSLATED BY MASANOBU MATSUMOTO

―― 新しい作品を作るとき、なにから制作を始めますか?

 それは、そのときによって違います。インスピレーションについても、雲のかたちや音楽、映画から着想を受けることもあります。

画像: スタジオのエントランスホールにある壁の1つ

スタジオのエントランスホールにある壁の1つ

―― どのようになったら、“作品が完成した”と思うのでしょうか?

 それも毎回異なります。ただ僕が満足したら制作を終了します。他人がその作品をどう見るかは気にしませんし、心配したり考えたりもしません。

―― アシスタントは何人いますか?

 僕ひとりだけです。自分で制作をこなします。だからダラダラすることもできる。もしアシスタントがいたら、いつも仕事をしていなければいけないというプレッシャーを感じてしまうと思います。

―― 作品を制作しているとき、どのような音楽を流していますか?

 何から手をつけていいかわからなくなったときは、いつもボブ・ディランやニール・ヤングを聴き直します。

―― 自分がプロフェッショナルな美術家だと、心から言えるようになったのはいつですか?

 デュッセルドルフ美術アカデミーを卒業したときです。それまでは、たとえばホテルのチェックインで職業を記入しなければいけないとき、僕はいつも「学生」と書いていました。しかし、卒業してからはもう「学生」と書けないわけです。そこで「そうだ、もう自分は“アーティスト”と書かなければいけないんだ」と思いました。

―― 仕事中に繰り返し食べるものはありますか?

 ドイツに住んでいた時は「ハリボ」の熊のかたちをしたグミ。日本に戻ってからは、チョコレートを食べるようになりました。

―― いま夢中になっている番組はありますか?

『アンという名の少女』という最近、Netflixが制作した『赤毛のアン』のリメイク版です。製作者は、史実を再現してみせる素晴らしい仕事をしており、舞台になっている当時の生活や人々の様子を本当によく伝えています。先住民族や黒人のコミュニティが直面している問題など、今日に関連する問題を物語のなかにうまく織り込んでいるのが面白い。さまざまな分野の興味深いテーマに触れていて、大人も子どもも観るべき作品だと思います。

画像: 奈良の美意識が見てとれる、写真やイラストなどの配置。内巻きにカールしたヘアスタイルの女の子、漫画の猫の時計、カート・コバーンなど

奈良の美意識が見てとれる、写真やイラストなどの配置。内巻きにカールしたヘアスタイルの女の子、漫画の猫の時計、カート・コバーンなど

―― スタジオにあるもので、一番変わったオブジェはなんですか?

 スタジオに置いてあるどんなものも、僕は変だとはまったく思っていません。ただ、ここを訪れた人には、何か変わったものに見えるようです。「どうして色々な場所に変わった人形をたくさん置いているの?」とよく聞かれます。

―― どのくらいの頻度で、他のアーティストと話したりしますか?

 めったに他のアーティストと会うことはありません。アーティストは芸術についてだけ話したがるものですが、僕は他のことに興味を持っている人と話したいと思っています。映画が好きな人、読書が好きな人、自分とはまったく違う分野の職業の人。漁師だったり、ハンターだったり、林業従事者だったり。

―― 最近、泣いてしまった出来事は?

『アンという名の少女』を観て。若いころはほとんど泣きませんでしたが、年をとるにつれ、ときどき、本当に些細なことで簡単に泣いてしまうようになりました。

画像: 読書用の部屋に佇む奈良

読書用の部屋に佇む奈良

―― 窓からはどのような風景が広がっていますか?

山、森、草原。人はまったくいません。

―― 家賃はいくらですか?

賃料は払っていません。このスタジオは自分で建てたものです。

―― 最も頻繁にまとめ買いするものは?

 おそらくチョコレートです。ピープルツリーというメーカーのもの。実は以前、Twitterでチョコレートの写真をアップしたことがあり、その会社の人が私のところにたくさん送ってくれました。だから、いまのところ、買う必要はありません。

※ このインタビューは要約、編集したものです

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