芸術分野で活躍する女性たちに光を当てるべく、グローバル・ラグジュアリー・グループであるケリングが創設したプラットフォーム『Women In Motion』。その一環として、新たな境地に挑み続ける日本の女性写真家への、全4回のインタビューシリーズをお届けする

BY AKIKO TOMITA, EDITED BY JUN ISHIDA

Introduction

 近年の日本人女性写真家たちの活躍には、目をみはるばかりだ。写真のノーベル賞とも称されるハッセルブラッド国際写真賞を日本人女性としてはじめて(日本人としては3人目)受賞した石内都や、フランスでもっとも権威のある写真賞、ニセフォール・ニエプス賞を受賞したオノデラユキなど、さまざまな世代の作家が国内外で活躍している。

 しかし歴史的には、職業写真家のほとんどを男性が占め、カメラは男のものと思われていた時代が圧倒的に長い。日本においては、少なくとも1980年代頃までは現代のような女性たちの躍進は考えられなかったはずだ。では、そんな写真の世界において女性たちがブレイクスルーを成し遂げることができたのは、なぜだったのか? その理由は単純ではないだろうが、少なくとも以前と以後を比較することで浮かび上がってくることはあるのではないだろうか。

 そもそもアート界においては新参者だった写真メディアが、一般的な美術館に展示されるようになったのは、日本においては1990年代に入ってからのこと。時代性を反映するメディアとしての宿命が、人々に広く支持される要因となったことは間違いないだろう。そして、女性写真家たちの躍進が同時期に起きたことは、偶然ではないように思える。90年代に入る直前に生じた世界のパラダイムシフト。それは、言うまでもなく冷戦の終結だ。イデオロギーの対立が一応の終焉を迎え、個々人の感性を拾い上げるような小さな物語の台頭を担った表現者たちに、多くの女性が含まれていたことは否定のできない事実だ。新しい時代の感性を表現するメディアとして写真が認められ、そして次世代への希望となる視点をもたらしたのが女性写真家たちだった。そんな風に理解することは、決して的外れではないだろう。個人的には、90年代日本におけるガーリーフォトのムーヴメントや女性写真家たちの進出は、ヴォルフガング・ティルマンスやナン・ゴールディンの仕事に匹敵するオルタナティブなシーンの登場だったと理解している。

 そして、彼女たちの活躍がブームに終わらずに今日まで続いているのは、直裁に社会を見る視線、自分の道を自ら決める強さ、個々の性質を拾い上げる細やかな感性で世界にコミットしながら現実を写し撮る、女性ならではの能力が求められ続けているからではないだろうか? ジェンダーはもちろん、人種や世代間の分断が懸念される昨今だからこそ、女性写真家たちが今と未来に何を見ているのかを知りたいと思う。


インタビュー
Vol.1 長島有里枝

© YURIE NAGASHIMA

インタビュー
Vol.2 石内 都

© ISHIUCHI MIYAKO

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