20世紀の巨匠ピカソの画業に迫る展覧会、世界初公開作品を含むモディリアーニのエキシビション。京都の市内を散策しながら楽しめる「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。今週絶対に見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『イスラエル博物館所蔵 ピカソ ーひらめきの原点ー』|パナソニック汐留美術館

画像: パブロ・ピカソ《座る女》 1949年 油彩・カンヴァス 100 x 81cm イスラエル博物館(エルサレム)蔵 GIFT OF ALEX MAGUY, PARIS PHOTO © THE ISRAEL MUSEUM, JERUSALEM BY ELIE POSNER © 2022 SUCCESSION PABLO PICASSO BCF (JAPAN)

パブロ・ピカソ《座る女》
1949年 油彩・カンヴァス 100 x 81cm イスラエル博物館(エルサレム)蔵
GIFT OF ALEX MAGUY, PARIS PHOTO © THE ISRAEL MUSEUM, JERUSALEM BY ELIE POSNER © 2022 SUCCESSION PABLO PICASSO BCF (JAPAN)

 青の時代、バラ色の時代、キュビスム、新古典主義、シュルリアリスム。時代の変化とともにめまぐるしく作風を更新しながら、20世紀の美術界を生きたパブロ・ピカソ。本展はピカソの世界有数のコレクションをもつイスラエル博物館から選りすぐりの作品を集め、その長く、豊饒な創作の軌跡をつまびらかにする。

 中心となるのは版画作品。実は、生涯にわたりピカソが創作意欲を注いだもののひとつが版画であった。若い頃からエッチングやリトグラフの作品を制作し、晩年にはリノカットと呼ばれる版画技法を追究。多彩かつ膨大な数の作品を残した。会場では、 青の時代の傑作銅版画《貧しい食事》を含む「サルタンバンク・シリーズ」、また代表作《ゲルニカ》を予示する銅版画《フランコの夢と嘘I、II》、86歳で取り組んだ版画連作「347シリーズ」などを展示。また絵画と版画の関連、モチーフや主題にもフォーカスし、ピカソのひらめきの原点を探る。

『イスラエル博物館所蔵 ピカソ ―ひらめきの原点―』
会期:4月9日(土)~6月19日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F
時間:10:00〜18:00(5月6日、6月3日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:水曜 ※ただし5月4日、5月18日(国際博物館の日)は開館
入館料:一般 ¥1,200、65歳以上 ¥1,100、大学生 ¥700、高校生 ¥500、中学生以下無料
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため日時指定予約を推奨。詳細はこちら
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイトはこちら

『モディリアーニ ー愛と創作に捧げた35年ー』|大阪中之島美術館

画像: アメデオ・モディリアーニ《若い女性の肖像》 1917年頃、テート PHOTO: ©TATE

アメデオ・モディリアーニ《若い女性の肖像》
1917年頃、テート
PHOTO: ©TATE

 アメデオ・モディリアーニはイタリア生まれの画家・彫刻家。21歳でパリにわたり、エコール・ド・パリ(当時パリを拠点に活動した外国人アーティストたちのつながり)の一員としてピカソや藤田嗣治などとともに活躍した。広く知られているのは、アーモンド型のうつろな眼と細長い首をした女性の肖像画だ。

 35歳で夭折したモディリアーニが残した作品はあまり多くない。本展では、そのなかでもフランス、イギリス、ベルギー、デンマーク、スイス、アメリカなどから選りすぐりを集め、さらに国内美術館等が所蔵する油彩画や水彩、素描など約40点が一堂に会する。またあわせて、仲間ともよぶべきエコール・ド・パリの作家たちの作品も紹介し、時代の変化、そして彼らとの交流のなかで醸成されていったモディリアーニ芸術の軌跡に迫る。もちろん彼の代名詞である肖像画も見どころだ。そのひとつ《少女の肖像》は、女優グレタ・ガルボが生涯にわたって愛蔵した作品であり、本展が世界初公開の場となる。

大阪中之島美術館 開館記念特別展『モディリアーニ ―愛と創作に捧げた35年―』
会期:4月9日(土)~7月18日(月・祝)
会場:大阪中之島美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜 ※ただし5月2日、7月18日は開館
料金:一般 ¥1,800、大学・高校生 ¥1,500、中・小学生 ¥500
電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター なにわコール)
公式サイトはこちら

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022』|京都市内各所

画像: サミュエル・ボレンドルフ「人魚の涙」より © SAMUEL BOLLENDORFF

サミュエル・ボレンドルフ「人魚の涙」より
© SAMUEL BOLLENDORFF

 10年めを迎える『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』。本年度も、京都文化博物館 別館ほか、京都市内の複数の会場で、写真史に名を刻む物故作家から新進気鋭の写真家まで、古今東西の写真作品を鑑賞できる。

 京都文化博物館 別館ではギイ・ブルダン、京都市美術館別館ではアーヴィング・ペンの作品を展示。京都の老舗帯屋である誉田屋源兵衛の黒蔵と奥座敷では、スペインを代表する写真家イサベル・ムニョスの作品を見せる。2017年にムニョスが本写真祭に参加したことをきっかけに、奄美大島にてダンサーの田中泯と誉田屋源兵衛の十代目当主・山口源兵衛を撮影したシリーズだ。

 琵琶湖疏水記念館およびその周辺にある蹴上インクラインでは、サミュエル・ボレンドルフの「人魚の涙」。ボレンドルフは、社会問題や環境問題などをテーマにしたドキュメンタリー作品で知られる作家で、2018年には世界を一周し、化学、鉱業、原子力産業など、21世紀に人間によって汚染された世界各国の地域に焦点を当てた作品「Contaminations」を制作・発表している。タイトルにつけられた「人魚の涙」は、海に流れ出る産業用マイクロビーズのこと。水にまつわる会場を舞台に、今人類が危機意識をもつべき水の問題について、作品を通じて警鐘を鳴らす。

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022』
会期:4月9日(土)~5月8日(日)
会場:京都市内各所
※詳細は下記の公式サイトにて。
料金:パスポートチケット(一般)¥5,000、中学生以下は全会場入場無料
電話: 075(708)7108(KYOTOGRAPHIE事務局)
公式サイトはこちら

※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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