TEXT & PHOTOGRAPHS BY NAMI IKUMA
頼れる美容グッズは、暮らしの中で“美”蓄を
静岡県出身の私は、幼少期からことあるごとに東海地震に関する知識と行動をたたきこまれてきた。静岡県民の防災意識は、マンガ『ちびまる子ちゃん』の「避難訓練に余念のない県民」のエピソードに詳しいが、あの内容は県下全体で行われていた事実である。小学生時代、私は防災頭巾を常に学校のイスの背中に取り付けていたし、下の学年の子たちは、毎日ヘルメットをかぶって登校していた。
それから数十年。あれほど恐れていた東海地震は来なかったものの、日本列島の各所で大規模な地震がいくつも起こった。建物の倒壊や津波で多くの方々が亡くなられ、命が助かっても厳しい生活を強いられている現実を全国民が目の当たりにし、東海地震をさらにスケールアップした「南海トラフ地震」への注意喚起が声高になされるようになった。にもかかわらず、私は「あんなに恐れていた東海地震は来ていない」という勝手な結論ゆえについ最近まで「そう簡単にはこないだろう」という、正常性バイアスとやらにどっぷり浸かっていた。
しかし。今年の夏、そんなバイアスを直す必要を感じた。私たちはいま、地震をはじめさまざまな災害と隣り合わせにある日常を生きているのだ。備えながら、日々を暮らす。防災準備は日常のこと。私も改めて静岡で育まれた防災意識を復活させ、自らの備えを見直してみた。
災害時のQOLを改めて考えてみる
私が普段から愛用している、炭酸シャワー美容液「エステシモ セルサート リウェイク シャワー」を販売しているタカラベルモントから届いたニュースレターには、同商品を取り扱っている、能登の穴水地区の美容室『Hair&Spa salon MANA』オーナーの中瀬智明さんのお話が掲載されており、実に勉強になった。
「災害支援の第1フェーズは命を繋ぐ支援。そして第2フェーズで大切なのは、被災後、避難所で続く生活のQOLを高めること。美容は人々の生きる力を支えQOLを高めてくれます。だから、防災グッズの中に、QOL視点でのアイテムをひとつ準備しておくと良いと思います」(『Hair&Spa salon MANA』オーナー中瀬智明さん/タカラベルモント株式会社プレスリリースより)
水道が復旧しなければ、手洗いも洗顔も風呂も不自由になり、体の清潔を保つことも困難になる。発災後、しばらくして中瀬さんは、水無しでも頭皮に爽快感をもたらす「エステシモ セルサート リウェイク シャワー」が、『炭酸で頭皮につけた時、気持ちがいい。これをドライシャンプー代わりに届けたら喜ばれるのではないか?』と考え、同商品の配布を、販売元のタカラベルモントに依頼。実際に約1200本が被災地に届けられたという。
現在、通常営業に戻ったサロンでは、避難生活が長引いた顧客より「頭皮がかゆい」「ブツブツができた」などの多くの悩みも寄せられているという。長期間、髪が洗えないことで、酸化した皮脂が蓄積して起こってしまったと考えられるという。命に直結する疾患ではないが、かゆみや傷みは精神的なストレスにもなるだろう。
こうした現地の貴重な声を念頭に置き、私自身が愛用しているものを中心に、イザというときにも体や髪を清潔に保てるものや、ほんの少しでもQOLを高めてくれるような “防災美容の7つ道具”を検討してみた。非常時だからこそ、使い慣れたものが安心感につながる。必要なものは個人によって違うはずだ。9月の防災月間をきっかけに、想像力を働かせて非常時に対応できる準備をしてみてほしい。
伊熊奈美厳選!2024防災美容の7つ道具
1 水いらずで頭皮スッキリ!エステシモの炭酸シャワー美容液
頭皮は皮脂の多いところなので、長期間シャンプーできないとベタつきやニオイ、皮脂の酸化による炎症が起こりやすくなる。水を使わずともスッキリサラサラにするドライシャンプーは防災グッズの定番だが、こちらは皮脂を吸着するパウダーを使っていない携帯シャワーのようなタイプ。重ねて数回使っても違和感がないのが気に入っていて、酷暑の季節にもおすすめだ。
2 マルチに使える、ママ&キッズの拭き取りローション
水のない生活で清潔を保てなくなるのはボディも同じ。これは低刺激処方の赤ちゃんのお尻拭き取り用スプレーだが、汗やにおいをキレイに落とせるので家族全員の体や手肌を清潔に保つことにも役立つ。日頃のデリケートゾーンのケアや介護用品にもおすすめ。1つで何役もこなせる、あると便利なアイテム。
3 いつもポーチに忍ばせたい、ハニック・ホワイトラボのペーパー歯みがき
口腔ケアグッズも、防災グッズには欠かせないアイテム。私が日頃からポーチに入れているのが、こちらのシート状の歯の汚れ落とし。外出先でのランチ後など、人と会う前の口腔ケアにも重宝。8年間の長期保存が可能なので、非常用リュックにも数セット用意している。
4 ワンステップスキンケア、メディプラスのゲル状美容液
非常時はストレスから肌あれが起こることも……。であれば、肌に優しいというだけではなく、トラブルをきちんと立て直せる力を持っていて、かつシンプルステップのものが向いている。これは単に潤いを与えるだけにとどまらず、バリア機能を強化するオゾン化グリセリンという成分を配合したオールインワン美容液。出張や旅など環境が変わる際には必ず小分けして持っていく、私のお守り的存在。
5 個包装が便利な、アオハルクリニックのUVクリームセット
UVケアアイテムは、紫外線だけでなく、フリーラジカルや大気汚染などの外的要因からも肌を守ってくれるもの。肌の未来を諦めないためにも、防災グッズに加えておきたい。こちらは1回分が個包装になったUVトーンアップクリーム&トーンアップミルクのセットで、1回あたりに使う量を体感できるように開発されたもの。チューブたまはボトルタイプもあるので、使用量の目安に慣れたら、日常のケアではそちらに移行しつつ、こちらの個包装タイプは、非常時の備蓄に役立てたい。
6 ほのかな香りでリフレッシュ!生活の木の天然アロマミスト
ストレスを和らげてくれる香りのアイテムも防災グッズに加えておきたいが、他の人との距離が近い中で生活をする可能性も考えると、強い香りのものは控えたい。そこで、おすすめなのが、こちらの「天然消臭アロマミスト 清々しい国産ひのき」。ボトルに書いてある通り、まさに“すっと消えて、ふわっと香る”ため、ファブリックや洋服にひと拭きすると、自分の周りにほんのりとした香りのシールドができるような心地よさが得られる。普段は玄関やキッチンなどニオイが気になるとところにおすすめ。
7 消毒液も個包装で清潔に。サラヤのアルコール含浸綿
食事の前など、手が洗えない状況の手指の消毒に重宝するのが、こちらのアルコール含浸綿。脱脂綿に消毒液を含浸させたもので、医療や介護の現場で使われている。個包装になっており、いつでも清潔に使えて衛生的。
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