建築家フランク・ゲーリーがニュージャージーのかつての馬牧場にアーティスト・蔡國強の“ドリームハウス”を建てた

BY M. H. MILLER, PHOTOGRAPHS BY STEFAN RUIZ, TRANSLATED BY MIHO NAGANO

画像: 火薬で描かれた蔡の絵画が壁に飾られているラウンジ。天井の高さは14フィート(約4.3メートル)ある

火薬で描かれた蔡の絵画が壁に飾られているラウンジ。天井の高さは14フィート(約4.3メートル)ある

 6月上旬のある朝、蔡はチェスターで私を迎えてくれた。その鬼軍曹のような髪型は、ときおり炸裂する彼のおちゃめさとまったくマッチしていなかった。彼は、1920年代に建てられた馬牧場を、オリンピック出場経験のある乗馬選手から2011年に購入していた(馬はニュージャージーが認定した「州の動物」で、米国代表乗馬チームの本部も近郊のグラッドストーンにある)。前のオーナーが乗馬訓練に使っていた小屋は、今では1万4000平方フィート(約1300平方メートル)もの面積をもつスタジオとなり、トラックを直接小屋の中に乗りつけ、材料を荷降ろしするのに十分な広さがある(蔡の絵画作品の多くは、火薬と染料を操り、爆発させて制作する。

ここ数年、彼はロングアイランドにある花火工場で作品を創ってきた。この秋は、マドリードにあるプラド美術館の展覧会でシリーズの最新作を披露する予定だ)。つい最近まで馬たちがひしめいていたかのように見える厩舎は、彼の作品のアーカイブ倉庫になる。干し草貯蔵用のロフトを取り払ってしまえば、高い天井まで遮るものがなくなり、大きな作品を展示するスペースも確保できる。

画像: 客用の棟にあるキッチンと、そこから見えるダイニング

客用の棟にあるキッチンと、そこから見えるダイニング

 蔡は精巧にデザインされたスタジオをこれまで何軒も所有してきた。建築家レム・コールハースの事務所、OMAがリノベーションを手がけた、マンハッタンにある現在のスタジオもそのひとつだ。だが、それらのスタジオはすべて、彼の自宅とは別のところにあった。彼は将来、この建物を一般に公開された財団にしたいと計画しているが、とりあえず今はここで働きながら、妻とふたりの娘と一緒の時間を過ごすことができる。彼いわく、私生活と仕事を一緒にするのが目標のひとつだったという。「芸術家は料理人のようなものでね」と、蔡は中国語で私に言い、彼のスタジオ・マネジャーが英語で通訳してくれた。「食事をする場所だけでなく、キッチンも必要なんだ」

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