『デヴィッド・ボウイ スペシャルナイト』 での“坂本龍一”体験

BY YUMIKO FUKUI

画像: 今年は、映画音楽2本が決まっている。「1本は韓国映画。前からやりたくて。これからなんですが、楽しみです」 COURTESY OF THE ASAHI SHIMBUN

今年は、映画音楽2本が決まっている。「1本は韓国映画。前からやりたくて。これからなんですが、楽しみです」
COURTESY OF THE ASAHI SHIMBUN

 リハーサル後にスタッフに何を指示していたのかをたずねると、意外な答えが返ってきた。

「曲順を事前に決めるのが好きじゃないんです。普段は本番中に、その場の思いつきで、『えーと、これやろうかな』って感じで弾きます。始まってから考える」。まるで落語。実際、その日のお客の様子やその場の空気感で決めたりすると言い、「立川談志みたいな」と笑う。が、今回のライブはデヴィッド・ボウイ展というテーマがはっきりあるため、事前にある程度選曲をし、それをリハーサル後に照明スタッフへ伝えていたのだった。なにもかもすべての指示を細かく出しているのかと思ったら、むしろ逆。「照明スタッフは、次に何が来るかわからないと、イントロクイズみたいに最初の音が『ピュッ』と来たら、『あっ!』となって、みんなかわいそうなので(笑)。ただ、普段から、あまり照明は変えるなと言ってます。リズムに合わせて変えたりしたら、その場で帰っちゃう」。

 リハーサル中に楽譜に書き込んでいたのも、あの場で思いついたハーモニーだと言う。「ふと和音を思いついて『あ、こっちのほうがいいな』と思ったので。本番で楽譜に書くと、お客さんがびっくりしちゃうんでやりませんが、本番中に変えちゃうことはしょっちゅうあります。ずっと同じように弾いていると飽きちゃうんですよ。よりベターなものを思いつけば、そっちを弾きますね」。談志が「ダメだな」と噺の途中で演目を変えるのを、「あの精神、最高ですよね」と言う坂本らしい。じつはリハーサル時に、ライブ中のトーク部分に関しては「本番でいいじゃない」と、内容打ち合わせは一切なく、マイクテストのみで終わったのだが、それにも納得した。

 いまいちばん大切に思うことは、「おいしい食事ですかね。新鮮なミョウガとかね」。リハーサル時にピアノの脇に置かれていた湯たんぽで指をあたためながら、まろやかに坂本は答えてくれた。

 

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