かつてないリアルな“没入感”で人々の心を奪うバーチャル・リアリティー。その世界を強大な力でリードするのがアダルト・コンテンツだ。日々進化する技術を背景に、その存在は人間関係の根幹までも変えようとしている

BY ALYSON KRUEGER, PHOTOGRAPHS BY GRAHAM WALZER, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA

 だが、会場で最も話題を呼んだ製品のひとつはセックス・ロボットだ。第一号である「ハーモニー」は、リアルボティクス社によって2017年5月に発表された。YouTubeに投稿された誘惑的な動画で、「ハーモニー」はその長い脚、豊かな乳房、ふっくらした唇、まるで生きているような動きや知性までもを披露。ある動画では、とある司会者が彼女に「あなたはセックスについてどう考えていますか?」と質問さえしていた。

画像: リアルボティクス社のロビーに展示されている、さまざまなセックス・ロボットの頭部

リアルボティクス社のロビーに展示されている、さまざまなセックス・ロボットの頭部

「セックスは、この世でもっとも魅力的なことのひとつよ」と彼女はハスキーな声で答える。「その行為に悪い要素なんてなにもないと思う」。「ハーモニー」はバーチャル・リアリティーと連動するため、ユーザーはVR空間で彼女と遊ぶこともできる。VRのヘッドセットを通してユーザーが目にしている行為を、彼女は実際の動きとしてすべて実践できるのだ。

「テレビ・ゲームとSFを組み合わせた感じかな」とリアルボティクス社のCEOでクリエイティブ・ディレクターでもあるマット・マクマレンは言う。リアルボティクス社は20年ものあいだ、人工知能を搭載したドールを開発してきたが、バーチャル・リアリティーの分野は新しい挑戦となる。「これまで培ってきた何千人ものユーザーとの経験から言うと、性行為目的でドールを使うことももちろんあるけれど、ドールにはそれ以上の何かが求められている。われわれは“絆”みたいなものを重視しているんです」

画像: CEOのマクマレン。カリフォルニア州サン・マルコスにあるリアルボティクス社の本社のVRラボにて

CEOのマクマレン。カリフォルニア州サン・マルコスにあるリアルボティクス社の本社のVRラボにて

 バーチャル・リアリティーは、その仮想空間で起きていることと本当につながっていると人に感じさせることができるため、「感情移入マシン」と呼ばれることがある。「それは極めて神経学的な事象です」と語るのは、ロサンゼルスとオレゴン州のポートランドを拠点として活動する、身体心理学者のホリー・リッチモンドだ。「VRを使っている人は、ただ単に見たり考えたりしているわけではありません。性的な意味だけでなく、心でも感じている。そこには文字どおり、心と体の深いつながりが存在しているのです」

 ダーリングが成人向けのライブ・パフォーマンスを行なう際、視聴者は画面の隅にあるチャット・ボックスからコメントを投稿し、ほかのユーザーとチャットをすることもできる。「VRで“参加”している人たちは、パソコンなどの2D画面で見て下品なコメントを投稿してくる人たちに対して『ゲスな真似はするな』とか『いい加減にしろ』とたしなめてくれるの」とダーリングは言う。「彼らは私を理解し、私と一緒にベッドルームにいるみたいに感じてくれているのよ」

 

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