先月、75歳で亡くなった樹木希林さん。今年2月、66歳で亡くなった大杉漣さん。日本映画にとって欠くべからざるふたりが遺した作品が、奇しくも同時公開される

BY REIKO KUBO

 全身がんを公表しながら、今年も『モリのいる場所』『万引き家族』と印象的な演技で見る者を惹き付け、映画祭やキャンペーンでは含蓄あるコメントで人々を魅了していた樹木希林さんが亡くなった。一昨年、『海よりもなお深く』のインタビュー時に、「今、あんたの人生これで終わりだよって言われたら、“はいそうですか、上出来でした”って、いつでもさよならできるの」と語っていた通り、風のように逝ってしまった。大きな喪失感が日本中を覆う中、彼女がお茶の先生を演じた『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』が公開となる。

画像: 「世の中には、“すぐわかるもの”と“すぐわからないもの”の2種類がある」という典子。彼女は、ゆっくりと長い時間をかけて茶道の心を感じとってゆく

「世の中には、“すぐわかるもの”と“すぐわからないもの”の2種類がある」という典子。彼女は、ゆっくりと長い時間をかけて茶道の心を感じとってゆく

 黒木華さん演じるヒロイン・典子が二十歳で茶道を習いはじめ、お茶を通して「日日是好日」の意味を知る、二十数年の時の流れを綴る物語。樹木希林さんは、典子が通う茶道教室の師範、武田先生役を演じた。作法とともに、掛け軸やお茶碗の意味、いにしえの日本人が慈しんだ二十四節気への思いなどをさりげなく語って聞かせる。そして何より、典子の心がざわつき、悲しみに暮れたとき、「ただおいしいお茶を飲みにくればいいのよ」と、いつでも温かく迎えてくれる。

 仔犬が描かれたお茶碗を愛でながら、次に使うのは12年後の戌の年、という会話のなかで武田先生が口にした「そのとき、私は100歳!?」という台詞にはっとさせられる。樹木希林さんには本当に100歳まで生きていただきたかった。ゆったりとした着物姿で、泰然自若とした武田先生は飄々とした樹木さん自身に重なるが、一方で、樹木さんは共演者についての歯に衣着せぬ辛口な批評も珍しくなかった。そんな樹木さんが病身を押して出演した理由が、黒木華さんとの共演だったという。「芝居にはその人の生き方が出る」というのが持論の樹木希林さんに、黒木華さん、従姉妹役の多部未華子さん、そして父親役の鶴見辰吾さん。芝居に対する真摯な姿が絶妙なアンサンブルを醸し、お茶の宇宙を静かに深く味わわせる物語を生み出した。

画像: 「私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって」。典子たちに向かって静かに語りかける武田先生。森下典子さんのロングセラー・エッセイに感銘を受けた、『さよなら渓谷』の大森立嗣監督が映画化(© 2018「日日是好日」製作委員会) © 2018 “EVERY DAY A GOOD DAY” PRODUCTION COMMITTEE

「私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって」。典子たちに向かって静かに語りかける武田先生。森下典子さんのロングセラー・エッセイに感銘を受けた、『さよなら渓谷』の大森立嗣監督が映画化(© 2018「日日是好日」製作委員会)
© 2018 “EVERY DAY A GOOD DAY” PRODUCTION COMMITTEE

『日日是好日』
10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)先行上映
10月13日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー
公式サイト

 

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