英国生まれの偉大なミュージシャンと日本人の前衛芸術家。西洋と東洋、戦勝国と敗戦国、人種など異なるものを超えて結ばれ、それぞれの領域で世界中から常に注目を集めたジョンとヨーコ。ふたりをよく知る4人に話を聞いた

BY YOSHIO SUZUKI

 横尾忠則とオノ・ヨーコ、ジョン・レノンとの出会いは1971年、ニューヨークでだった。
「1969年、パリ青年ビエンナーレでグランプリをもらい、その副賞としてパリ滞在招待を受けました。ピカソがアトリエにしていた“洗濯船” の建物に隣接しているパラダイスホテルに2カ月投宿し、そろそろ期限が切れる頃、ニューヨーク近代美術館(MoMA)での個展が決まったという電報を受け取り、ロンドンでしこたまファッションを買ってニューヨークへ。すぐ、ジャスパー・ジョーンズに電話で『来た』と伝えたら、『サンクスギビングデーのパーティをするのですぐ来い、君に紹介したいいい人がいるからね』と言われたんです」

 当時、画家のジャスパー・ジョーンズは大きな銀行だった建物をアトリエにしていた。横尾が到着すると、10人くらい先客がいて、しばらくした頃、黒ずくめの服にベレー帽のヨーコが、一歩遅れて、グレーのスーツのジョンが入ってきた。その髪は短くカットされていた。ふたりはジャスパーのところに行って、ひと言ふた言話していた。
「ジャスパーが僕のほうを指さし、ふたりが僕のところにやってきました。びっくりしました。最初から知っている人同士のような雰囲気。まあ、すでにふたりは僕のことを知っていたんですね」

画像: 「ジョンも、『ポラロイド』で僕の二重写しの写真を撮りました。ジョンの写真としても珍しく、貴重な作品だと思います」。ジョンは写真の裏にサインや日付、自分とヨーコの似顔絵を描いた COURTESY OF TADANORI YOKOO

「ジョンも、『ポラロイド』で僕の二重写しの写真を撮りました。ジョンの写真としても珍しく、貴重な作品だと思います」。ジョンは写真の裏にサインや日付、自分とヨーコの似顔絵を描いた
COURTESY OF TADANORI YOKOO

 広く細長いテーブルでディナーが始まった。
「ヨーコとジョンが中央で、僕はジョンの横に座らされました。ジョンの右手の親指が、まるで指圧師の指みたいにまん丸ですごく大きいのを見て、この人は相当ギターを弾いていると思いました。一夜の天才ではないとね」

 その日はそれだけだったが、ヨーコは家に遊びに来るようにと横尾に電話番号を渡した。何度かためらいつつも電話をすると、ヨーコが出て、今からすぐいらっしゃいというので遊びに行った。
「特にヨーコさんは日本のことを聞きたがりました。ベッドの脇には日本の週刊誌などが山積みでした。批判記事を書いたこの人、どういう人、とかですね。そのあと夕食をともに。ベッドインしたふたりの前に板を渡して、テイクアウトした自然食、乾物やマメ、あまりおいしくはなかったですね。4~5時間くらいいて3人でフォトセッションもしました。僕がヨーコさんとばかり話をしているので、ジョンが横から邪魔をします。『ハッケヨイ、ノコッタ、ノコッタ』と言って。プレスリーの『ブルー・ハワイ』をヘッドホンで聴かせ、ここがスゴいと教えてくれたり、ピアノを弾いたりしていました」

画像: ジョンとヨーコのアパートで食事のあと、写真を撮ろうと横尾が言うとふたりは快く応じた。「3ショットは、僕の自撮りです」。この写真は『平凡パンチ』1972年1月24日号の表紙を飾った COURTESY OF TADANORI YOKOO

ジョンとヨーコのアパートで食事のあと、写真を撮ろうと横尾が言うとふたりは快く応じた。「3ショットは、僕の自撮りです」。この写真は『平凡パンチ』1972年1月24日号の表紙を飾った
COURTESY OF TADANORI YOKOO

 帰りにはTシャツ、レコード、写真などお土産をもらった。
「翌日またヨーコさんから電話があり、デヴィッド・フロスト・ショーに一緒に出てほしいと言われ、迎えが来てテレビ局へ行きました。公開ライブ放送だったので、紙ヒコーキを作って飛ばすパフォーマンスをステージでするなど、いろいろありました」

 横尾はまた、ジョンの活動を見て、「ジョンの歌のバックには、ヨーコがいる」と誰よりも早く見抜いていた。
「『イマジン』はヨーコの詩をなぞっているし、彼女は声のパフォーマンスを以前からやっていました。『アビイ・ロード』のレコーディングのときも、ヨーコは離れたところにいたけれど、その頃からジョンによって音楽に興味をもたらされていたわけだし」

 2017年6 月14日、全米音楽出版社協会はジョン・レノン作詞作曲としてきた「イマジン」の共作者として、オノ・ヨーコをクレジットに追加することを発表した。ジョンは生前、BBCのインタビューで「レノン/オノとクレジットされるべきだ」と語っていた。突然、発表を知らされたヨーコは涙ぐんでいたとショーンが語っている。

『DOUBLE FANTASY―John&Yoko』
ジョン・レノン&オノ・ヨーコ、彼らの言葉、音楽、アート作品、世界に発したメッセージや身の回りのものなど、貴重な展示品でたどるふたりの創作活動と人生の物語。2018〜2019年、『ジョンの故郷であるリバプールのために』とヨーコ自身も深く関わり、観客70万人を動員した展覧会が、ジョンの生誕80年、没後40年でもある今年、ヨーコの故郷、東京で開催される。前衛芸術を切り拓いたヨーコと世界的ロックスターのジョンの誕生から出会い、今日までの軌跡をたどる

会期:10月9日(金)〜2021年1月11日(月・祝)
会場:ソニーミュージック六本木ミュージアム
住所:東京都港区六本木5-6-20
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜~20:00)
11月3日(火)、23日(月)~18:00、2021年1月11日(月)~20:00
(入場は閉館の30分前まで)
休館日:12月31日(木)、2021年1月1日(金)
入館料(税込):一般 ¥2,600、大学生・専門学生 ¥2,100、高校・中学生 ¥1,200、小学生以下 無料
※ 別途、前売料金あり
公式サイト

※ 新型コロナウイルスの感染・拡散防止のための入場制限等は、公式サイトをご確認ください。

画像: © 2018 YOKO ONO LENNON

© 2018 YOKO ONO LENNON

映画『イマジン』
10月9日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国順次公開
1971年発表の名盤『イマジン』の収録曲それぞれに映像を作った初のビデオ・アルバムとも言われている。ジョンとヨーコが監督、制作

 

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