パティ・ジェンキンスは、『ワンダーウーマン』の続編の監督として高額な契約を結び、映画業界の歴史に名を残した。同作品はHBO Max(アメリカの動画配信サービス)でも公開されることに決まり、「3作目は?」 と聞かれた彼女は、「今は様子見」だと話した

BY KYLE BUCHANAN, TRANSLATED BY NAOKI MATSUYAMA

 ここでは、その会話の一部を編集したものを紹介する。

―― 1作目の契約では続編の製作は保証されていませんでした。いつ頃から次回作の交渉を始めたのですか? そして、続編に求めていた条件を達成するのは難しいことでしたか?

『ワンダーウーマン』が公開されて、成功を収めたすぐ後から話が持ち上がったんですが、契約交渉がとても難航して時間がかかってしまいました。でも、『ワンダーウーマン』を撮った後の私だからこそ、それ相応のギャランティをもらってもいい。少なくとも、初めてのスーパーヒーロー作品で『ワンダーウーマン』ほどにはうまくいかなかった監督たちと同じくらいは、もらうべきだと思いました。

―― この作品で約800万~900万ドルほど(約9~10億円)稼いだと報道されていますが、これは女性監督としては記録的な数字ですよね。

 最高の気分です。本当に。ただおかしなことに、こんな大金を手にしたことがなかったからか、どれほどもらったのか自分でもうまく理解できていません。「なるべくしてこうなったのか」という疑問に気を取られて、きちんと状況を飲み込めなかったんです。

―― この映画の舞台を1980年代にしようと思ったのは、なぜですか?

 本格的な『ワンダーウーマン』の世界観を映画化したかったのですが、本当に伝えたかったのは、私が、いま世界で起きていると感じていることです。重い話にはしたくないのですが、――実は気候変動をテーマにした映画だということを観客に知ってほしいと思っているわけでもなく―― この世界は失われようとしているのです。より多くを求め続けるとき、度を過ぎた私たちは、この世界にとっていったいどのような存在なのでしょうか? 自分の生活を変えることは容易いことではありませんが、変えていかなければすべてを失うことになります。1980年代は、まだこのように私たちの欲望に支払うことになる対価を知らない時代でした。そういった意味で理想的な舞台だったんです。

画像: 『ワンダーウーマン 1984』BD/DVD/デジタル【予告編】 youtu.be

『ワンダーウーマン 1984』BD/DVD/デジタル【予告編】

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―― そういった意味では、ペドロ・パスカルが敵役として、どこかドナルド・トランプにも似ている金髪のビジネスマンを演じているのは、興味深いです。ただ、彼が敵役として非常に共感できる背景が与えられていますよね。

 1980年代の悪役の壮大さはとても気に入っています。でもこれに関しても、少し変わったことをやってみたかったんです。単に1980年代の型にはまったビジネスマンをわざとらしく見せるのではなく、そういったビジネスマンをウォールストリート・ジャーナル紙で見て、自分もそうなりたいと思っている移民の人という設定にしたんです。だから、彼は髪をブロンドにして自分が白人に見えるようにする。

 この映画では誰もできなかったことをいくつかやっています。まず、映画のなかで誰も死にません。そして、主人公は最後に会話で敵に勝ちます。私としては、「トロイの木馬」のようなことをやったつもりです。スーパーヒーロー映画に求められるものをすべて満たしていると思わせながら、実は、そのような期待を覆すことを狙いました。この映画を見ている若い世代に「自分の中にあるヒーローを見つけなさい」と伝えようとしているんです。

―― 主人公がもたらす“勝利”が、誰かを物理的に倒す能力以上のものに基づいているスーパーヒーロー映画は珍しいですよね。

 だって、この世界ではそれではダメだ、ということを私たちは思い知りましたよね?

―― 果たして本当にそうでしょうか?

 どこかの国を爆撃したとしても、40年後くらいにわれわれに迫っているリミットまでの時間を止めることはできない。つまり、大切なのはそういうことなのです。

―― そのような真摯に向き合う気持ちを映画で表現するために、戦わなければなりませんでしたか?

 今はもう必要はありませんが、これまでのキャリアにおいて戦ってこなければならなかったし、これからも戦い続けるつもりです。この世界では、皮肉や厭世観に執着する傾向があります。理解はできますが、もっと勇気を持つべきだと思うんです。本当の悲劇や愛を経験すると、どちらも皮肉や厭世観でそれらを語れるものではありません。監督としてのキャリアをスタートした頃、まさにそういったムードを作り始めていたクールな子たちがそばにいたので、「私はそういうことはしない。感情や誠実さを表現しようとすることで恥ずかしい思いをするかもしれないけど、その方法がわかるまではやめない」と、自分に約束したんです。

―― そういった考えは、1作目の『ワンダーウーマン』に、簡単に反映させることができましたか?

 ワーナー・ブラザースには、この映画のことをよく理解していなかったり、作品に自信を持てなかったりする人がたくさんいました。「笑いが強すぎる」「主人公が柔らかすぎる」などとも言われました。でも、試写会の夜、すべてがガラッと変わりました。私が反応してほしいと思っていた部分で、観客が反応したり興奮したりするのを見られたのは素晴らしい経験でした。でも今回はそれが見られないのが悲しいです。本当に残念。

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