NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』が2月19日(土)より有料配信される。昨年5月、公演へ向けて稽古に励む主演・高橋一生にT JAPANがインタビュー。この機に再掲載する

BY SATOKO HATAKEYAMA, PHOTOGRAPHS BY TAKAY, STYLED BY TAKANORI AKIYAMA, HAIR & MAKEUP BY MAI TANAKA(MARVEE)

 衝撃的な内容で2021年の演劇界の話題をさらった問題作『フェイクスピア』。第29回読売演劇大賞において作品賞、男優賞、演出家賞の3部門で優秀賞を受賞した。

 主演の高橋一生にT JAPANがインタビューしたのは、稽古真っ最中の昨年5月初旬。台本を初めて読んだときの印象を聞くと、高橋は「重たいなと。動揺しました」と語った。膨大なセリフの応酬はときにコミカルだが、その裏で社会が抱える問題に鋭い問いを投げかける劇作家の野田秀樹。彼がこの作品で選んだテーマはずばり「コトバ」だ。SNSやメディア、そして現実の生活でもフェイクな言葉が堂々と飛び交う現代。真実のコトバを求めて野田が辿り着いたのは……。

画像: PHOTOGRAPH BY KISHIN SHINOYAMA

PHOTOGRAPH BY KISHIN SHINOYAMA

『フェイクスピア』というタイトルが示す通り、数々のシェイクスピア作品や能、恐山のイタコといったモチーフを重層的に用い、生者と死者、真実とフェイクの間を行きつ戻りつする本作。高橋をはじめ、白石加代子、橋爪功といった実力派俳優たちの熱量の高い演技にも圧倒される。

 今回の配信では本編に加え、「高橋一生カメラ」と称して主演の高橋にフォーカスした映像が見られるという。未見の人はもちろん、生の舞台を目にした人にとっても、また新たな発見がありそうだ。

 高橋一生インタビューは、T JAPAN本誌を飾った撮り下ろしカットとともに再掲載する。

多面体の男ーー高橋一生 WEB限定インタビュー
(2021年5月掲載)

画像: 舞台のフォトセッションでは、作・演出の野田秀樹が放つセリフをオウム返ししながらの撮影だったと振り返る高橋一生。本誌でも、フォトグラファーの求めに応じつつカットごとに異なる表情を見せる。鏡に映ったその姿は、真実の彼か、あるいはフェイクか。 シャツ¥506,000/ボッテガ・ヴェネタ ボッテガ・ヴェネタ ジャパン フリーダイヤル:0120-60-1966

舞台のフォトセッションでは、作・演出の野田秀樹が放つセリフをオウム返ししながらの撮影だったと振り返る高橋一生。本誌でも、フォトグラファーの求めに応じつつカットごとに異なる表情を見せる。鏡に映ったその姿は、真実の彼か、あるいはフェイクか。
シャツ¥506,000/ボッテガ・ヴェネタ
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
フリーダイヤル:0120-60-1966

 なんとも、ものやわらかに笑う人である。
 爽やかな面持ちと端正な佇まいで、スクリーンや舞台上で抜群の存在感を放つ俳優・高橋一生。ここ数年も話題作への出演が途切れることはなく、一筋縄ではいかない役柄を演じきることで、実力派としての評価も高い。国家機密を知ってしまった貿易商、特殊能力を持つ漫画家、女性刑事と魂が入れ替わるサイコな殺人鬼など、近作の役どころを並べてみても鮮烈な印象を残すものばかり。作中で見せる優しげな笑顔ひとつとっても、複雑かつ繊細な影を刹那に浮かび上がらせるさまは、当代きってのカメレオン俳優ともいえる。
「お待たせしてすみません」。野田秀樹が作・演出を手がける新作舞台の初日を三週間後に控えた5月某日、高橋一生は稽古後の熱が冷めやらぬ空気をまといながらインタビュールームに現れた。

画像: 虚と実。陰と陽。人間の相反する心を写し取ったかのようなこのカットは、T JAPAN本誌のカバーを飾った。高橋一生の真実の姿は、どちらでもあり、どちらでもない。シャツ¥248,600、中に着たシャツ¥74,800/エルメス エルメスジャポン TEL.03(3569)3300

虚と実。陰と陽。人間の相反する心を写し取ったかのようなこのカットは、T JAPAN本誌のカバーを飾った。高橋一生の真実の姿は、どちらでもあり、どちらでもない。シャツ¥248,600、中に着たシャツ¥74,800/エルメス
エルメスジャポン
TEL.03(3569)3300

「稽古はとてもスムーズに進行しています。野田さんは舞台では初めてご一緒しますが、本当に楽しくお芝居される方だなあと、見ていてすごく面白いです。人の頭の中は基本的に、PCをデフラグ(最適化)するような作業を夢の中で行っている気がするんですが、今作に関しては、野田さんの脳のデフラグを僕らがやっていくような感覚があります。夢というのはコラージュ的な部分もあるので、人間の心や想い―― そういったものを整理して表現していく作品なのかなと思います」

 高橋が演じるのは、5月24日に初日を迎えたNODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』の主人公役。コロナ禍を経た人気劇作家の二年越しの新作舞台であり、さらには「フェイク+シェイクスピア=フェイクスピア」という人を喰ったようなタイトルの面白さも相まって、その内容に期待が高まるのは必然だ。

 野田作品といえば、言葉遊びを散りばめた物語の小気味良さに加え、肉体を駆使した躍動感のある構成に定評がある。今作品ではどうも、フィクションとノンフィクションが真正面からぶつかりあう構図らしいというのも漏れ伝わってくる。ダイナミックな身体表現同様、台詞回しにも相当の技量が要求されそうな作品だけに、野田作品初主演となる高橋がどう表現するかにも注目が集まる。

画像: コロナ禍、そして新しい生活様式のもとで上演される舞台への内外の注目度は高い。だが、渦中の高橋一生は主演の気負いもさらりと受け流すかのようにフォトシューティングに挑んだ。その視線の先にあるものは、さて。 ニット(参考商品)/ルイ・ヴィトン ルイ・ヴィトン クライアントサービス フリーダイヤル:0120-00-1854

コロナ禍、そして新しい生活様式のもとで上演される舞台への内外の注目度は高い。だが、渦中の高橋一生は主演の気負いもさらりと受け流すかのようにフォトシューティングに挑んだ。その視線の先にあるものは、さて。
ニット(参考商品)/ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトン クライアントサービス
フリーダイヤル:0120-00-1854

「台詞に関しては、言い方でいう『音』が重要な位置を占めているような気がしています。台詞を文字で読んだ時に感じたイメージを『居心地のいい音』でどれだけ自分の腑に落とせるか。一読したあとになんとなく違和感を覚える台詞であっても、リズムやイントネーションを変えて声に出してみることで改善していっています。あくまで自分の中だけの感覚ですが、耳障りのいい『音』に変換していくことで、納得のいく台詞が言えているのかもしれないです」

 今回の「フェイクスピア」での主人公だけでなく、今まで高橋が演じてきた虚構性の強い役柄についても、こうした彼なりの方法論が駆使されてきたのかと思うと、その完成度とリアリティに合点がいく。難役をパーフェクトに演じてみせるそのストイックさから、役柄に憑依するタイプなのかと尋ねてみると「全くそうではないです」と意外な答えが返ってきた。

「僕は常に『離見の見(世阿弥の能楽論で、演者が自分の演技について客観的な視点を持つこと)』でいるほうです。けれど『この瞬間は役に没入してもいいんだ』という瞬間へのスイッチングは非常に早いということを、今回、野田さんとの稽古で初めて認識できたような気がしています。野田さんがあまりにも自由に演らせてくれるものだから、そこに気づいたときには自分でも『おお!』となりました。『離見の見』は、ある意味アウト・オブ・コントロールな状態。けれど、そうはありながらもどこかで手綱を握る自分もいて、没入していると気づいたら手綱を引っ張って客観的な視点に戻る瞬間もある。『おい、マジになるなよ』という自分が意識の奥底にいることで、自分と役柄のバランスをいい具合に取れているような気がします」

画像: 舞台や映画、ドラマなどで幅広く活躍。年齢を感じさせないルックスだが、身に纏う空気は独特の色気を放ち、重層的だ。簡単には正体をつかませない多面性が、舞台でも映像でも見るものを翻弄し惹きつけるポロシャツ¥148,500、肩に掛けたカーディガン¥148,500/グッチ グッチ ジャパン クライアントサービス フリーダイヤル:0120-99-2177

舞台や映画、ドラマなどで幅広く活躍。年齢を感じさせないルックスだが、身に纏う空気は独特の色気を放ち、重層的だ。簡単には正体をつかませない多面性が、舞台でも映像でも見るものを翻弄し惹きつけるポロシャツ¥148,500、肩に掛けたカーディガン¥148,500/グッチ
グッチ ジャパン クライアントサービス
フリーダイヤル:0120-99-2177

 俳優として数多くの作品で積んできた様々な経験に加え、客観的に自分を見ることのできる冷静さを保ち続けていることも、高橋の魅力を大いに深めているのだろう。本人は「気恥ずかしさが助けてくれている部分もあるでしょうね」と謙遜するが、作り手からのオファーが絶えない理由も、そういった時間の積み重ねと経験則にあるのではと推察できる。

「実はこの稽古中、ふと思って前のドラマの台本を読み返しました。男性と女性が入れ替わる物語で、僕の役は『なんて献身的な人間なのだろう』と思いながら演じていたのですが、改めて読み返したら、その芯は最初から最後までブレていませんでした。人からはよく、(サイコなキャラが)『途中で変わりましたね』と言われたんですが、脚本家の方は僕が演じる役のキャラクターを全く変えていなかったことに驚いたんです。人間というものは不安定な生き物で、角度によって見え方がガラリと変わってしまう。それだけ複雑で曖昧な多面体なんです。裏を返せば、人間は境遇や生活によって表面的に違う人格に見えているだけで、たとえそれが犯罪者であっても、根幹は同じひとつの『魂』なのかもしれない。そんな風に考えるのは、長い間お芝居をさせていただいて、様々な役を演じてきたことも、少なからず影響しているのかもしれません。大仰なことではありませんけれど、僕にとってはそういうことを感じられる境地に、少しだけですけれど足を踏み込めたのはよかったなと思っています」

画像1: 主演・高橋一生
衝撃の舞台『フェイクスピア』が
特典映像つきで配信決定

 新しい生活様式が必須となった現在、世の中は以前にも増してわからないものをひとつに捉えようとしたり、出るはずのない答えに対して白か黒かの正解を求めようとする風潮にある。その空気に囚われることなく、多面体であり続ける高橋一生。彼はいったい何者なのか。我々はもしかすると、その爽やかな笑顔で、さらりと煙に巻かれているのかもしれない

画像: 「人間は複雑で曖昧な多面体」と語る彼の、さまざまな顔を切り取ったスペシャルなファッションシューティング。撮影で用意されたオーバーサイズのジャケットを、芝居の小道具のように効果的にビジュアライズしてゆく姿は、舞台の上での即興表現そのもの。求められるものを瞬時に理解する俳優の研ぎ澄まされた感性が、一枚のカットに結実する。 ジャケット¥345,400、シャツ¥133,100・パンツ(参考色)¥119,900/バレンシアガ バレンシアガ クライアントサービス フリーダイヤル:0120-992-136

「人間は複雑で曖昧な多面体」と語る彼の、さまざまな顔を切り取ったスペシャルなファッションシューティング。撮影で用意されたオーバーサイズのジャケットを、芝居の小道具のように効果的にビジュアライズしてゆく姿は、舞台の上での即興表現そのもの。求められるものを瞬時に理解する俳優の研ぎ澄まされた感性が、一枚のカットに結実する。
ジャケット¥345,400、シャツ¥133,100・パンツ(参考色)¥119,900/バレンシアガ
バレンシアガ クライアントサービス
フリーダイヤル:0120-992-136

高橋一生(ISSEY TAKAHASHI)
1980年、東京都生まれ。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。近年の主な出演作に、映画『スパイの妻』、『ロマンスドール』、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』。ドラマ『天国と地獄~サイコな2人~』、『岸辺露伴は動かない』、『恋せぬふたり』など。

NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』(有料配信)

配信期間:2022年2月19日(土)19:00~2月27日(日)23:59 
配信プラットフォーム:Blinky(ブリンキー) https://blinky.jp/
※視聴には会員登録が必要になります。
※ご利用端末によってはご視聴いただけない場合がございますので、事前にBlinkyオフィシャルサイトにて視聴可否をご確認の上、チケットをご購入ください。
配信チケット発売期間: 2022年2月5日(土)10:00~2022年2月27日(日)18:00
チケット料金:¥3,500(税込)

チケット販売:
イープラスhttps://eplus.jp/fakespeare/st/
チケットぴあhttps://w.pia.jp/t/fakespeare-v/
ローソンチケットhttps://l-tike.com/play/fakespeare/

出 演:高橋一生
川平慈英 伊原剛志 前田敦子 村岡希美 白石加代子 野田秀樹 橋爪功 

石川詩織 岩崎MARK雄大 浦彩恵子 上村聡 川原田樹 白倉裕二 末冨真由 谷村実紀 手打隆盛 花島令 間瀬奈都美 松本誠 的場祐太 水口早香 茂手木桜子 吉田朋弘

作・演出:野田秀樹

収録日・収録場所:2021年6月12日(土) 東京芸術劇場プレイハウス配信

本作品に関するお問合せ:NODA・MAP https://www.nodamap.com/site/query/mail
視聴方法、操作方法に関するお問合せ: Blinky https://forms.gle/uCKUFVWnKM6U3kyD6
チケットに するお問合せ: 
イープラスhttp://eplus.jp/qa/
チケットぴあhttps://t.pia.jp/help/index.jsp
ローソンチケットhttps://l-tike.com/contact/

 

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