9月1日に日本公開される映画『ブレット・トレイン』に出演している真田広之。夕日、釣り、そして牡蠣とワインの完璧な食事が、彼を満足させる理由を語る

BY KATHRYN SHATTUCK, TRANSLATED BY T JAPAN

 俳優、武道家、剣の達人である真田広之は、『モータルコンバット』、『ウエストワールド』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』に出演して自身の道を切り拓き、切り刻んできた。それも、いとも簡単に。

 デヴィッド・リーチ監督による『ブレット・トレイン』は、東京の高速列車に閉じ込められた5人の暗殺者たちの複雑なミッションを描いたアクションスリラーだが、この作品でもそれは同じだった。

画像: 真田広之。8月3日にロサンゼルスで行われた『ブレット・トレイン』の上映会にて ALBERT L. ORTEGA/GETTY IMAGES

真田広之。8月3日にロサンゼルスで行われた『ブレット・トレイン』の上映会にて
ALBERT L. ORTEGA/GETTY IMAGES

「私のアイデア、デヴィッドのアイデア、振付師のアイデア、スタントマンのアイデア、それらを現場でミックスしました」と真田は語る。リーチ監督は、『ウルヴァリン:samurai』でスタントコーディネーターとして一緒に仕事をした仲だ。「2、3回リハーサルをして、撮影、撮影、撮影。とてもスムーズで楽しかった。特にデヴィッドは私の提案とスキルを信頼してくれていたからね」

 ブラッド・ピットが暗殺者の一人として出演する中、真田は揺るぎない信念を持つ謎の人物、エルダー(年長者)を演じる。その息子(アンドリュー・小路)は、殺されかけた我が子の復讐のためにその列車に乗り込んでいる。

 8月5日に全米で公開されたこの映画は、真田にとって嬉しいことに、素晴らしいユーモアのセンスを備えた作品でもある。リーチ監督が重要なシーンで少し戦略的に血を流すことを提案すると、真田は「この映画、最高!」と叫んだほどだ。

 2003年にトム・クルーズと共演した『ラストサムライ』以来、真田は映画やテレビで描かれる日本文化の信憑性について常に発言してきた。来年3月に全米で公開される『ジョン・ウィック:チャプター4』や、FXの『Shogun』など彼の最新のプロジェクトは、文化的により洗練された視聴者向けにアップデートされ、真田は主演とプロデューサーの両方を務めている。

「以前はプロデューサーではなかったけれど、同じことをやっていました」と笑いながら、これまでも意見を表明してきたと語る。「20年経って、やっと肩書きがつきました」。

 ロサンゼルスからの電話インタビューで真田は、スクリーン上で巻き起こす騒動とは対極にあるような、平和でヘルシーな私生活を維持するために必要なことを詳しく語った。

 以下、その一部を抜粋して掲載する。

1.ジャズ

 20代前半の頃、大好きな和田誠監督がジャズのスペシャリストで、私が出演した映画にもジャズが使われていたことから、聴くようになったんです。彼は私にたくさんの素晴らしいミュージシャンを教えてくれました。歌手のメル・トーメ。もちろん、トランペットのマイルス・デイヴィスも。そして、レイ・ブラウンは私の大好きなベーシストです。コントラバスを弾くことは、私の趣味のひとつになりました――ほんの少し、お遊びで、ですが。

2. メジャーリーガー大谷翔平選手

 才能があるのはもちろん。その上、球場内やオフのときや、ファンに対するマナーも素晴らしい。とても礼儀正しくて、若い世代の良いお手本です。私も8歳か9歳のときに野球を始め、主にキャッチャーをやっていました。面白いですね、あのポジションは。バンドのベースみたいなものです。だからか、カメラの外で人をプロデュースしたり、サポートしたりするのが楽しい。リードギターよりも、そういうポジションの方が好きなんです(笑)。

3. 夕日が持つ救いの力

 若い頃から、夕日を眺めるとすごく癒されるんです。当時はアクション映画が多かったのですが、危険なシーンの後、車やスタッフバスで帰る途中、夕日が心を癒してくれました。ロサンゼルスに住み始めてからも、海の近くで毎日夕日を眺めていました。そして、同じことを感じたんです。「この海は日本とつながっている。アメリカで失敗しても、いつでも戻れるんだ」と。夕日が私を癒してくれて、私は生き抜くことができました。

4. 幼少期を過ごした日本の田舎

 母の家族は奄美大島の出身で漁師をしていました。父方の実家は長野の山間部で農業を営んでいました。だから、私には農家の血が流れているんです。東京で生まれましたが、シティボーイというわけではありません。だから、カリフォルニアは私にとってとても居心地がいいんだと思います。

5. 牡蠣……

 撮影のたびに、街で一番おいしい牡蠣を探すようにしています。名前のせいか、“クマモト・オイスター”(牡蠣の種類)が好きです。そして、“クッシ”(同。日本語の「屈指」が由来)も大好きです。小さいけど、クリーミーで深みがある。たとえ新鮮でも、撮影の前日には食べないようにしています。牡蠣で体調を崩したことはないのですが、念のため。

6. ……ワインとともに

 ロゼから始めて白にしたり、白から始めて赤にしたり、食事ごとに色を変えます。気分次第です。ほぼ毎晩、ワインを飲んでいます。牡蠣とワイン、私にとっては最高の組み合わせです。

7. 1万歩のウォーキング

 ドライブして新しい場所を探索し、それから歩いて歩数を稼ぐのが好きなんです。1日1万歩を目標にしています。もっと多いときもあれば、少ないときもありますが、これが私の基本的な目標です。精神的な健康と肉体的な健康、そしてリフレッシュや発見にもとてもいいんですよ。

8. 釣り

 子供の頃、兄と一緒に釣りに行ったり、時には潜って貝や伊勢エビを取ったりしていました。休みの日には、何もかも忘れてリラックスして釣りに集中します。そして、釣った魚は自分で料理します。海辺でバーベキューをすることもあれば、家に持ち帰って刺身や寿司にすることもあります。煮付けにしたり、焼いたり、あるいは燻製にすることも。

9. ガーデニング

小さな庭で、実は屋外ではありません。キッチン近くの窓際にあり、料理用のハーブを数種類育てています。自分で作ったものを料理に使うのは、私の楽しみのひとつです。バジルにミニトマトにシソ。ネギにハラペーニョ。それにミント。カクテルの材料にもなりますよ。

10. ゴルファー松山英樹選手

 2021年のマスターズ・トーナメントで優勝したとき、とても誇らしく思いました。彼は(日本人男性として初めてゴルフのメジャー大会で優勝し)新しい歴史を作りました。そして、日本の若い世代に夢を与えてくれました。大谷選手や松山選手の活躍は、アメリカや世界のマーケットでカメラの前に立ち続ける情熱やモチベーションを私に与えてくれるのです。(東洋と西洋の間の)壁を破るためのね。若い俳優たちが、私の仕事から何らかのインスピレーションを得ることができるなら、それは素晴らしいことだと思います。

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