今年の春に刊行された『ずっと美しい人のおしゃれスタイル』。シリーズ3冊の最後を飾るこの本に登場する“カッコいい”シニアマダムたちの言葉は、今を生きる大人の女性たちへの力強いエールだ

BY JUNKO ASAKA, PHOTOGRAPHS BY KIKUKO USUYAMA

 100人近くに取材して心に残った言葉は、と問うと「なんといっても筆頭は美輪明宏さん」と挙げてくれた。いわく、「シワがあろうがしみがあろうが太っていようが、加齢を情けなく思う必要はない。60にもなったら、若さが太刀打ちできないような包容力とかやさしさ、精神的ゆとりが魅力になる時期にさしかかったと思えばいい」のだと。

 もうひとつは、加藤タキさんの「年齢を言い訳にしない」という言葉。「歳をとれば容姿は衰えていきます。鏡を見るのも嫌になるけれども、鏡を見なきゃだめなのよ、と。鏡で今の自分とか精神状況がわかったら、そこからどうしたらいいのか考えること。自分を見つめなきゃというお言葉がとても胸に残りました」

「私は私」というたくましい自己肯定。それは、もうこのままでいいというあきらめではなく、今が完成形だと開き直っているのでもない。彼女たちは、「まだまだ私は変わっていくのよ」という進化形のエネルギーに満ちているのだ。

画像: 67歳から本格的に始めた社交ダンスのおかげで見事なプロポーションを保っている加藤タキさん。40代半ばから白髪を染めるのをやめ、「明るい色も無理なく着られます。逆に若々しいって言われるわ」と笑う

67歳から本格的に始めた社交ダンスのおかげで見事なプロポーションを保っている加藤タキさん。40代半ばから白髪を染めるのをやめ、「明るい色も無理なく着られます。逆に若々しいって言われるわ」と笑う

「魅力的に年齢を重ねている女性たちには、“年相応”という言葉も無縁です。相応というのはいろんな規範に自分を縛り付けていくことですが、取材させていただいた方々は、そういった規範を越えている。そこが素敵なんだと思います。たとえば60代後半でミニスカートにサイハイブーツを素敵に着こなしている方もいれば、人とは違う個性的なおしゃれを楽しんでいる方もいる。無理をすることなく、私はこれが好きなの! という気合、心意気の強さが、その服をその人に似合わせているんですね」

 興味深いのは、取材されたマダムたちのほとんどが、ひと目でわかるブランド物を身につけていないことだ。ブランドのパワーを借りるまでもなく、自分自身の選択眼に自信を持ち、自分だけのスタイルを愛しているから、彼女たちはこんなにも充実して見えるのだろう。

画像: 出版社を一昨年定年退職し、現在はフリーランスのエディターとして数々の書籍に携わる野村さん。「100人近くの女性たちにお会いしてたくさんの言葉をうかがい、それが私自身の宝物になりました」 PHOTOGRAPH BY SHINSUKE SATO

出版社を一昨年定年退職し、現在はフリーランスのエディターとして数々の書籍に携わる野村さん。「100人近くの女性たちにお会いしてたくさんの言葉をうかがい、それが私自身の宝物になりました」
PHOTOGRAPH BY SHINSUKE SATO

 60を過ぎれば「おばあさん」と思われた時代はすでに去った。「街を歩いていても、おしゃれな年配の方、白髪だけれど小綺麗な方がすごく増えました。いま、女性たちは年齢に関係なく、いくつになってもきれいでいたいとい思っている。でも男性に比べて、本来、女性のほうが“もっともっと”の欲に満ちているのではないかと思うんです。こうしたい、あそこに行きたい、あれが食べたい、と(笑)。加えて、『後がない』という思いゆえに、1日1日が本当に大切になっていきます。この3冊でお会いできた女性たちをお手本に、自分自身も毎日をちゃんと、そして楽しんで生きなければ、と思っています」

 エネルギッシュな欲望を道連れに、3冊に登場する日本のシニアマダムたちは今このときを、きらきらと輝きながらエンジョイしている。「Carpe diem カルペ・ディエム(今日という日の花を摘め)」――それこそが、抗いようのないエイジングに対する唯一の武器なのかもしれない。

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