変化し続ける
芦田多恵の現在地

TJ People Vol.3 ー TAE ASHIDA
女性らしさを際立たせるだけでなく、そこに躍動感を与える服を作り続けるデザイナー、芦田多恵。デビューして27年目を迎える彼女が、いま変化のときを迎えている

BY ASATO SAKAMOTO

 芦田多恵は自身のブランドをディレクションすると同時に、父のブランドjun ashidaのアートディレクターも務めている。おもに広告のビジュアルや映像の制作に関わるなかで近年取り組んでいるのが、シーズン毎のコレクションを映像作品で表現するアプローチだ。

「少し前まではjun ashidaもTAE ASHIDAもそれぞれショーをやっていたのですが、今の時代、必ずしもショーをやらなくていいんじゃないかと。jun ashidaは歴史も長いですし、シーズンや年月を越えて長く着られる価値を持っています。そういったブランドならではの、一過性ではなくバリューが冷めない表現スタイルがあるんじゃないかとずっと考えていました」

 そこで取り組んだのが、ショートフィルムの制作だ。普遍的な価値をもつ映画という作品の中では服も錆びにくい。彼女がディレクションするjun ashidaのスペシャルムービーは、今年で3シーズン目になる。

画像: jun ashida 2018/2019秋冬コレクション スペシャルムービー「REFLECTIONS」 youtu.be

jun ashida 2018/2019秋冬コレクション スペシャルムービー「REFLECTIONS」

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画像: jun ashida 2018/2019秋冬コレクション「REFLECTIONS」の一場面。クライマックスは、ウィーン自然博物館の屋上から望むパノラマを背景に、イヴニングドレスを纏う女性が描き出される PHOTOGRAPHS:COURTESY OF TAE ASHIDA

jun ashida 2018/2019秋冬コレクション「REFLECTIONS」の一場面。クライマックスは、ウィーン自然博物館の屋上から望むパノラマを背景に、イヴニングドレスを纏う女性が描き出される
PHOTOGRAPHS:COURTESY OF TAE ASHIDA

「REFLECTIONS(レフレクションズ)」というタイトルが付けられた最新作は、ウィーンとブラチスラバを舞台に撮り下ろされた。現代的建築物とレトロな建物、時代設定すら掴めない不思議な空間の中をさまよう一人の女性。冒頭からミステリアスな雰囲気が漂い、デヴィッド・リンチ映画を思わせる緊張感と映像美が同居する。

「ストーリー性、時間軸、空間の奥行き、360度の動き……どれをとってもショーや写真表現とはまた別のおもしろさと難しさがあって、学ぶことがたくさんあります。今回は、映像スタッフとのミーティングのなかで、スパイのようなミステリアスな女性を登場させようというアイデアが出ました。監督の武藤眞志さんも、冷戦時代にウィーンに作られたモダンな建築物がたくさんあることを教えてくれて、シンプルで立体的で、動くと美しいjun ashidaの服は、その空間の中においたらいっそう際立つんじゃないかと、このストーリーを考えてくださいました」

 アートディレクターを担うことで、ある種、第三者的立場でjun ashidaというブランドを捉える機会を得た。そしてドキュメンタリー映画『Embellir』ではTAE ASHIDAと自身の半生と向き合った彼女は、両ブランドの奥にあるジュン アシダというカンパニーの姿を、今どのように見ているのだろうか。

「もしかしたら今までは、“説明しなくてもわかりますよね”と思ってしまっていた部分があったのではないかと思います。それが、アートディレクターとしてjun ashidaに関わったり、いろんなアーティストの方と一緒にもの作りをしたり、個人的にインスタグラムを始めたことによって、“私自身がちゃんと伝えなくてはいけない”と思うようになりました。
私たちメゾンが大事にしていかなければいけないのは、やはり、もの作りに対する姿勢です。ファッションは時代性のあるものですから、使い捨て的なファッションが流行するのもそれ自体は悪いことではないと思いますが、私たちはそこで満足するわけにはいかない。50年以上洋服づくりを続けてきたなかで、クオリティの高いもの作りは常に根幹を支える部分です。ジュンアシダのアトリエには優秀な技術者たちがいて、私も彼女たちと一緒に服作りを行うのですが、そういう血の通ったもの作りこそが本当に私たちの宝だと思っています。そして、クオリティが高いものとは、単純に生地や縫製がいいということだけではなく、デザインや、お客さまの手に渡る過程やサービスまで含めたすべてです。それらをつねに高いレベルで保っていくのが、私の使命です」

 

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