厳選された天然の原材料と、長く変わらない独自の技法で製造されるビルケンシュトックのフットベッドは、足と健康に対して献身的であり続けた。その実直でピュアなものづくりを、ファッションは常に求めている

BY MASAYUKI OZAWA, PHOTOGRAPH BY YOSHIO KATO

 誤解を恐れずに言えば、より多くの人々にファッションとして認知され、成功するために必要な条件は、ブランドの出自がファッションでないことかもしれない。特にフットウェア業界は、いかにも皮肉めいたこの仮説を歴史が証明している。ニューバランスがもともと矯正靴のメーカーであったように、ナイキやアディダスがアスリートのためのシューズを今も実直に作り続けているように、機能がデザインを生み出し、ストリートカルチャーと偶発的に結びつき、その結果としてファッションと邂逅(かいこう)する。現在は特にその傾向が顕著かもしれない。これまでトップデザイナーたちは、服にドレス、靴にバッグ、香水からホームグッズと、身につけるすべてをデザインすることで、メゾンの世界観を構築してきた。しかし最近のデザイナーはどうも「餅は餅屋」の精神を尊重しているように見える。自分たちのデザインよりその道のプロとのコラボレーションを選び、保証されたクオリティと巧妙なマーケティングによって成功を収めている。彼らはリアルな世界との境界線が曖昧になるほど発展したSNSの世界で生きているからこそ、人々が本物に飢えていることを知っているからだ。

 おそらく世界中のファッションデザイナーにとって、ビルケンシュトックはとても純粋な存在だ。ここでいう純粋とは「ファッションを目的とせずに確立した、第三者がまねすることのできない伝統とクオリティ」のこと。つまり快適な履き心地をもたらすオリジナルのフットベッド(インソール)そのものを指す。それが生まれた背景やヒストリーには、いくつかのターニングポイントがあった。

画像: (左から) ビッグバックルは今季のデザイン ¥17,000 ファーつきの「チューリッヒ」も人気アイテム ¥20,000 インソールの青い文字は、ソフトフットベッドの証し。柔らかな履き心地は海外で人気 ¥13,000 「マドリッド」は1963年に誕生したクラシックモデル ¥7,500 トング型の「ギゼ」も永遠の定番 ¥9,500 ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス (ビルケンシュトック) TEL. 0476(37)7501

(左から)
ビッグバックルは今季のデザイン ¥17,000
ファーつきの「チューリッヒ」も人気アイテム ¥20,000
インソールの青い文字は、ソフトフットベッドの証し。柔らかな履き心地は海外で人気 ¥13,000
「マドリッド」は1963年に誕生したクラシックモデル ¥7,500
トング型の「ギゼ」も永遠の定番 ¥9,500

ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス
(ビルケンシュトック)
TEL. 0476(37)7501

 19世紀後半、ドイツは空前のスパブームに沸いていた。フランクフルトで靴店を経営していた創業者のコンラート・ビルケンシュトックは、バーデンバーデンなどの温泉保養地を訪れる多くのヨーロッパ人やアメリカの富裕層のために、足のアーチに沿うインソール入りの靴を作り始めたという。解剖学に基づいた凹凸のある設計は、インソールはフラットというそれまでの通念を覆す斬新なものだった。1920~30年代になると、医療的な研究に拍車がかかり、ビルケンシュトックは医師たちに講習会を開いては専門知識を広めるなど、足の矯正と健康に特化した特別なポジションを確立していた。1963年には、天然のラテックスとコルクを混合した柔軟な素材を開発。現在におけるフットベッドの基礎が、この時点でほぼ完成していた。やがてアメリカ西海岸に上陸すると、天然素材のヘルシーなフットベッドは核兵器、加工食品、人種差別に反対するヒッピーたちの間で愛されたという。

画像: コルクを挟んでいる2枚のジュートがはみ出た部分を、フットベッドの形に沿ってカッティングしている COURTESY OF BIRKENSTOCK

コルクを挟んでいる2枚のジュートがはみ出た部分を、フットベッドの形に沿ってカッティングしている
COURTESY OF BIRKENSTOCK

画像: スエードのフットベッドの中に2層で施されたジュートやコルクは、ハンドメイドで丁寧に整えられる COURTESY OF BIRKENSTOCK

スエードのフットベッドの中に2層で施されたジュートやコルクは、ハンドメイドで丁寧に整えられる
COURTESY OF BIRKENSTOCK

 

This article is a sponsored article by
''.