時代ごとにその価値を変えてきたジーンズに、「サスティナブル」という新たな価値を加えたユニクロ。そのイノベーションは、確実に未来を変えていく

BY SATOKO HATAKEYAMA, PHOTOGRAPHS BY JENNIFER ROCHOLL AND JAKE TROTT(Jen Plus Jake)

 2015年に国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以降、地球環境に負荷をかけない生産方法が多方面で推し進められている。ファッションの世界も同様で、エシカル(倫理的な)、アップサイクル(創造的再利用)といった言葉をメディアで目にすることも多くなった。ラグジュアリーブランドなども率先してファーフリーやプラスチックフリーを宣言するなど、普段身につけるものに対してもサスティナブルな選択をすることが問われてきている。

 とはいえ、ジーンズの醍醐味は、ザブザブと洗いざらしたデニム生地の風合いや色落ち感、はき込んで柔らかくなったコットンの快適な着心地にあるはずだ。ジーンズの工場には巨大なウォッシングマシンが何台も並び、ヒゲやアタリなどのヴィンテージ加工をする職人が手作業している光景が当たり前だったはず。それが水をほとんど使わずに、よりクオリティの高いものを作るなんてどうやって? 松原さんはその革新的なプロセスをこう説明する。

画像: 独自のイノベーションが洗いの工程を激変

独自のイノベーションが洗いの工程を激変

「洗いの工程では微細なナノバブルのスプレーやオゾンガスを用います。それによって水の使用量を劇的に減らすことができました。さらには、ストーンウォッシュに使用する軽石を、摩耗しにくいエコストーンに替えることで水質汚染も軽減できました。今まで人の手で行なってきた擦りの工程も、レーザー技術の導入でよりスピーディで高いクオリティが実現できました。これらの新技術では手作業を一切しないので、作業をする人の負担がぐっと減ったのも大きな特徴です」

画像: ストーンウォッシュに用いるエコストーン。何千回もの使用に耐え、水質汚染を軽減

ストーンウォッシュに用いるエコストーン。何千回もの使用に耐え、水質汚染を軽減

 ジーンズの生産工程に欠かせない「水」を削減するという画期的な技術は世界中のユニクロの提携工場に順次導入されつつあり、2020年からはファーストリテイリングの全ブランドのジーンズがサスティナブルな工程で生産されるという。その迅速さもさることながら、価格は今までどおり据え置かれるというのだから驚く。

画像: ヴィンテージ風のデザインは、ジーンズのすべてを知り尽くしたスペシャリストがPC上でデザインし、レーザー加工で忠実に再現される

ヴィンテージ風のデザインは、ジーンズのすべてを知り尽くしたスペシャリストがPC上でデザインし、レーザー加工で忠実に再現される

画像: リッピング(裂き)などの加工も、レーザーで焼き切ることで即座にできあがる

リッピング(裂き)などの加工も、レーザーで焼き切ることで即座にできあがる

「われわれの目標はとてもシンプル。『良いことをしましょう』ということなのです。優れたデザイン性や身につけたときの快適さだけでなく、環境に負荷を与えず、生産工程に関わる人たちの人権が守られた環境で生産されるジーンズこそが良い商品です。そして、そのようなジーンズづくりを追求していくことが持続可能な未来につながると信じています」

画像: デザインされたアタリやヒゲはレーザーにより1分以内で完成。ホコリなどを人が吸い込むこともない

デザインされたアタリやヒゲはレーザーにより1分以内で完成。ホコリなどを人が吸い込むこともない

 毎日の暮らしの中で何げなくはいている普通のジーンズが、最先端の技術によって守っていくべき地球環境を最優先に見据えている。サスティナビリティへの第一歩は「未来の」ジーンズを選ぶことから始まる。

 

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