作家・原田マハがクリエイターとプロデューサーを務め、新進気鋭のデザイナー・伊藤ハンスがデザインを手掛ける「ÉCOLE DE CURIOSITÉS(エコール・ド・キュリオジテ)」。小説とモードの融合というユニークな立ち位置で発信を続ける二人に、コロナ禍を経ての服作りに対する想いを聞いた

BY T JAPAN

―― この秋のコレクションの題材「陶芸家ルーシー・リーに魅せられた女性」の着想はどこから来たのでしょうか?

原田 2人で打合せをしている間に、ルーシー・リーってどう? と思いついて。これまで陶芸家を扱ったことがなかったんですが、今こんなちょっと殺伐とした世の中であるけれども、陶芸という誠実な「手仕事」がしっくりきたんです。ルーシーその人の来し方を書くのではなく違うアプローチで、ルーシーの器との出会いによって未来に向かって一歩踏み出していく一人の女性の物語をコレクションの中に込めてほしい、という思いでハンスに託しました。

伊藤 ルーシー作の器をマハさんが持っていて、それをパリに持ってきてくれたんです。それがすごく綺麗なピンク色の器で、ストーリーにも登場する。そうなると僕は、ピンクに対してものすごい興味が出てきて。これまで全然使ったことのない色だったので、“ピンクの取材”をかなりしました(笑)。いろいろな方に似合うピンクとは? ピンクってどういう時に着るのか? とか、ずっとリサーチしながら一生懸命作った色です。その辺りにもぜひご注目頂けたら嬉しいですね。

画像: 伊藤氏が「ピンクの研究」を重ねて創作した、大人のためのライラックピンクが美しいコーディネート

伊藤氏が「ピンクの研究」を重ねて創作した、大人のためのライラックピンクが美しいコーディネート

画像: (写真左)今シーズンのテーマである陶芸家のルーシー・リーから着想を得た、“LUCIE”と名付けられたエプロンドレスは、同系色のシャツと重ねて (写真右)ルーシーのパートナーであったハンス・コパーをイメージして作られたアルパカヘアのコート “COPPER” PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ÉCOLE DE CURIOSITÉS

(写真左)今シーズンのテーマである陶芸家のルーシー・リーから着想を得た、“LUCIE”と名付けられたエプロンドレスは、同系色のシャツと重ねて
(写真右)ルーシーのパートナーであったハンス・コパーをイメージして作られたアルパカヘアのコート “COPPER”
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ÉCOLE DE CURIOSITÉS

―― ドラマティックでありながらも、日常生活に溶け込んで年代や肌、髪の色にとらわれないデザインという印象を受けますが、どのような人に着てほしいと思いますか?

伊藤 ブランドの直営店がないので、販売は取引先のショップの方々にお任せしていますが、シーズン後のフィードバックでは、年代や国籍、性別を問わず、文化的なものやアートに関心のある大人の方が着てくださっていると聞いています。目標は、「服好きが買ってくださる」ということに尽きると思います。やはり服好きな方はメンテナンスも気にしてくださるし、生産背景にも興味があるだろうし……ファッションという分野の持つ視覚的なボキャブラリーを一緒に感知していたい。この服はこういうものでという説明をしすぎると、着る方のコーディネートを限定してしまうので、着てくださる方へのバトンリレーだと思ってお任せしたいんです。

また、マハさんの書くストーリーにある心の機微と響き合う服を作りたいと思っています。コレクションでは各アイテムに名前をつけ、それがキャラクターとして成立するようになっていて。今回もルーシーという名の、陶芸家が着ていたようなエプロン型のドレスのほか、彼女のパートナーのハンス・コパーのイメージから発想した、コパーという名のアルパカヘアのコートも作りました。知っていただければいただくほど世界観が広がるのではないかと思います。

―― エコール・ド・キュリオジテの今後の展望は?

原田 コロナ禍でのブランド運営の舵取りで、いろいろなことに気づかされたという実感がありますね。モノがあふれ過ぎた時代に、人は着るものをどうチョイスするのか? そんな中で私たちが作るのは、着る人が気持ちよく、袖を通した時に高揚感を覚え、この服と共にありたいと感じてもらえるような服であるべき。そのためには素材や制作過程も丁寧に手を抜かず、フランスの古き良きアルチザンの精神を現代に蘇らせるという気持ちで、選んでくださる人のために真面目に服を作ってお届けしようと模索してきました。

結果、世界中にそれを受け入れてくださる方々が本当にいらっしゃって、驚くべきことにコロナ禍でも売上げが落ちなかったんです。フランスやイタリアの生産者の方たちも、エコールの服は「誠実な服」だから、コロナ禍でも負けずにきちんと作りましょうと言ってくださった。ハンスの服に対する姿勢も、頑固で妥協を許さないというのではなく、清らかに誠実。そこが当初から彼に対して気概を感じているところですね。今はまだ小さなブランドであっても、誇り高くありたい……。それはいつも思っていることで、アトリエのメンバーも全員で共有しています。

画像: 原⽥マハ(MAHA HARADA) 作家。キュレーターとして森美術館開設準備室に勤務、ニューヨーク近代美術館への派遣を経て、2006年「カフーを待ちわびて」で作家デビュー。2012年「楽園のカンヴァス」で⼭本周五郎賞など受賞多数。’14年、伊藤ハンスとともに「エコール・ド・キュリオジテ」のプロジェクトをローンチ PHOTOGRAPH BY ZIGEN

原⽥マハ(MAHA HARADA)
作家。キュレーターとして森美術館開設準備室に勤務、ニューヨーク近代美術館への派遣を経て、2006年「カフーを待ちわびて」で作家デビュー。2012年「楽園のカンヴァス」で⼭本周五郎賞など受賞多数。’14年、伊藤ハンスとともに「エコール・ド・キュリオジテ」のプロジェクトをローンチ
PHOTOGRAPH BY ZIGEN

画像: 伊藤ハンス(HANS ITO) デザイナー。パリ在住。パリのモード専⾨学校“Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne”を卒業後、「メゾン マルタン マルジェラ」のアトリエ勤務を経て独⽴。2016年、エコール・ド・キュリオジテ」クリエイティブ・ディレクターに就任。 エコール・ド・キュリオジテ 公式インスタグラム PHOTOGRAPH BY ZIGEN

伊藤ハンス(HANS ITO)
デザイナー。パリ在住。パリのモード専⾨学校“Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne”を卒業後、「メゾン マルタン マルジェラ」のアトリエ勤務を経て独⽴。2016年、エコール・ド・キュリオジテ」クリエイティブ・ディレクターに就任。エコール・ド・キュリオジテ 公式インスタグラム
PHOTOGRAPH BY ZIGEN

パルコ・プロデュース『リボルバー〜誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?〜』

<東京>
会期:2021年7月10日(土)~8月1日(日)
会場:PARCO劇場(東京)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ 8F
料金:¥12,000(全席指定)
電話:03(3477)5858<パルコステージ>※ 時間短縮営業中

<大阪>
会期:2021年8月6日(金)~8月15日(日)
会場:東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
住所:大阪府東大阪市御厨南2-3-4
料金:S席¥12,000、A席¥11,000(全席指定)
電話:0570-200-888<キョードーインフォメーション>(11:00~16:00/日曜・祝日休)

公式サイト

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