天井までのガラス窓の向こうには、濃い緑と瀬戸内海の青が広がる。都心で予約のとれない人気店を営んでいたシェフが、岡山県・牛窓に移住して得たものとは

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA

「もっと早く、母が元気なうちに移住してくればよかった。毎日海を見ながら、短パンで仕込みができるなんて。確かに気分が明るくなります。イタリア時代は毎日こんな気分だったんですけど」と笑う。

 一昨年、林に人生のパートナーが現れた。岡山出身の林加苗(かなえ)。海外留学の経験もあり、企業でバリバリ仕事をしてきたキャリアウーマンだ。牛窓での最初の一年は、母親の介護をしながら、掃除も仕込みもサービスもひとりでしていた林だが、今は彼女がサービスを一手に引き受けている。一緒にレストランへ出かけ、料理について語り合ったり、器好きな彼女から備前焼の作家を紹介してもらったり。彼女の友人である備前焼作家の伊勢㟢競の作品が、昨年からテーブルに登場している。ふたりになり、アイデアも世界も広がった。

画像: オリーブの樹の前で、笑顔の林夫妻。「彼女に料理のヒントをもらうこともあります」 ほかの写真を見る

オリーブの樹の前で、笑顔の林夫妻。「彼女に料理のヒントをもらうこともあります」
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画像: 備前焼作家の伊勢㟢競さん。穏やかな人柄を映すような優美な器にファンが多い。林も「料理が映える器です。地元のお客さまが喜んでくれます」と絶賛する ほかの写真を見る

備前焼作家の伊勢㟢競さん。穏やかな人柄を映すような優美な器にファンが多い。林も「料理が映える器です。地元のお客さまが喜んでくれます」と絶賛する
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画像: 窯変四方皿。「備前焼の正統を守りながら、自分なりの新しい美を生み出したい」と伊勢㟢さん ほかの写真を見る

窯変四方皿。「備前焼の正統を守りながら、自分なりの新しい美を生み出したい」と伊勢㟢さん
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「地元の人たちに本当に助けられています。こちらに移ってきて大正解でした。東京は食材が集まる場所ですが、鮮度や味には限界があります。これからは、食材の生まれる土地へ食べ手が動く時代。東京の料理人が全国へ散れば、経済効果だってアップするでしょう。日本の食シーンが変わっていくと思います」
 新天地での林の笑顔が、これからのレストランの在り方を教えてくれる。

acca(アッカ)
住所:岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓496牛窓国際交流ヴィラ
営業時間:ディナー(17:00〜18:30スタート、¥10,000のコース)のみ
定休日:水曜定休
電話:090(7997)4586 

 

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