国内に流通するピーナッツの約9割が外国産という実情のなか、千葉県旭市でオーガニックの落花生を育てている若き生産者がいる。この落花生から生まれる、ピュアな味わいのピーナッツペーストに夢中になる人が後を絶たない

BY YUMIKO TAKAYAMA

 加瀬と一緒に畑へ向かった。落花生の葉は一枚一枚楕円形に近く、どこかユーモラス。掘り起こした早生の落花生の小さな粒を口に運んでみる。クリーミーかつ爽やかで、フレッシュなアーモンドミルクに近い味わいだ。

画像: 育てている品種は、在来種の千葉半立、ナカテユタカ、郷の香の三種類。除草剤を使用していないため、草取りをまめに行う COURTESY OF BOCCHI

育てている品種は、在来種の千葉半立、ナカテユタカ、郷の香の三種類。除草剤を使用していないため、草取りをまめに行う
COURTESY OF BOCCHI

 できあがった落花生は丁寧に殻むきをし、乾燥させるために一カ月ほど野積みして地干しする。その後、最適なピーナッツを何度も選別し、焙煎、薄皮を剥がし、ピーナッツペーストに加工する。今の味わいになるまで、さまざまな飲食店関係者や料理家に試食してもらい、試作を重ねたという。
「ある有名ベーカリーのオーナーの方に、自信作のピーナッツペーストを持っていったんです。そしたら、“朝食ではこれは食べないね”と言われました。味がくどすぎたんです。目覚めたあとに食べたくなるピーナッツペーストとはどんな味わいだろう……と行き着いたのが今の商品です」

 加瀬は販売に問屋を介さない。「Bocchi Peanut」の製品を扱いたいと連絡が入ると、実際にその店に足を運んで話をしてから取引を開始する。「“なぜそんな手間のかかることをするのか”と周りからは言われるけれど、販売する人たちの顔や店を知りたいし、彼らに生産者のことも知って欲しい。今は100軒以上のお店と取り引きがあります」

画像: 目でピーナッツペーストに使用するピーナッツを識別する COURTESY OF BOCCHI

目でピーナッツペーストに使用するピーナッツを識別する
COURTESY OF BOCCHI

 自社の有機栽培の畑は年々規模を増やし、現在はスタート時の倍の6反歩に。けれどもまだまだ理想の集荷量には満たない。最近、有機農業で落花生を育て始めた千葉県内の若い農家と知り合って意気投合し、来年から取り引きできることになった。そうして自分が目指す方向へ舵をとると、おのずと仲間が集まってくる。そのつながりがうれしい、と加瀬は話す。

画像: ほのかな甘みのある ピーナッツペースト「SUGAR」 <120g>¥972 ほかに、クランチな食感の 「CRUNCH」 <120g>、ピーナッツ100%の 「PLAIN」 <120g>各¥972がある BOCCHI TEL. 0479(67)3566 公式サイト COURTESY OF BOCCHI

ほのかな甘みのあるピーナッツペースト「SUGAR」<120g>¥972
ほかに、クランチな食感の「CRUNCH」<120g>、ピーナッツ100%の「PLAIN」<120g>各¥972がある
BOCCHI
TEL. 0479(67)3566
公式サイト
COURTESY OF BOCCHI

 次の挑戦は、オーガニックのピーナッツオイルの搾りかすを使ったお菓子を考案すること。25kgのピーナッツオイルを得るためには100kgのピーナッツが必要で、うち75kgが搾りかすになる。今まで廃棄されていた部分だが、東京・代々木八幡にあるフレンチビストロ「PATH」の後藤裕一シェフパティシエに話をしたところ、彼自身、フードロス問題に関心が高く、商品開発に協力してくれることになったという。

「地元の子供たちに、有機農業ってかっこいい! って思ってもらえるようなピーナッツ生産者になりたい。そしていつか、そのなかから料理人や飲食業に関わる人が出てきて、“地元のピーナッツを使いたい!”って言ってもらえたら本望です」と、キラキラと瞳を輝かせて話す加瀬の笑顔が印象的だった。

 

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