一般的な窓のないオートメーションの飼育方法とは真逆の方法で、餌や環境に徹底的にこだわり、鶏卵をつくり続ける大松農場。安全・安心で実に風味豊かな卵には、大松秀雄の”農”への真摯な思いがこめられている

BY YUMIKO TAKAYAMA

 本誌10月25日号掲載の特集「おいしいひと皿から世界が変わる。」で取材したフランス料理店「レフェルヴェソンス」のシェフ 生江史伸さんが手がけるブーランジェリー「ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー」。この店の皿の上を彩るのはすべて、生江シェフが敬愛してやまない生産者たちが手塩にかけてつくった食材だ。その“おいしいひと皿”をつくる6人の生産者の声を、全6回にわたりお届けする。

 第四回は、千葉の旭市で、ひよこから鶏を育て、ぶれることのない信念と妥協のない真摯な姿勢で、健やかな鶏卵をつくり続ける大松農場を紹介。


「ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー」の人気メニューのなかに、「アリスの卵」という目玉焼きのオープンサンドがある。オーナーの生江史伸シェフが懇意にしている、アメリカ・カリフォルニア州のレストラン「シェ・パニース」のアリス・ウォータース考案のレシピが由来だ。そしてその抜群においしい目玉焼きは、大松農場の鶏から生まれたものだ。

画像: 六本木にあるブリコラージュ ブレッド アンド カンパニーの人気メニュー「アリスの卵、パプリカのケイジャン風」。全粒粉、ディンケル小麦、ライ麦を使用したブリコラージュブレッドと豆乳クリームを合わせた上に、大松農場の卵を使った目玉焼き。ナイフをいれるととろりと流れておいしいソースに ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー 港区六本木6-15-1 六本木けやき坂テラス 1F TEL. 03(6804)3350 PHOTOGRAPH BY BUNGO KIMURA

六本木にあるブリコラージュ ブレッド アンド カンパニーの人気メニュー「アリスの卵、パプリカのケイジャン風」。全粒粉、ディンケル小麦、ライ麦を使用したブリコラージュブレッドと豆乳クリームを合わせた上に、大松農場の卵を使った目玉焼き。ナイフをいれるととろりと流れておいしいソースに
ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー
港区六本木6-15-1 六本木けやき坂テラス 1F
TEL. 03(6804)3350
PHOTOGRAPH BY BUNGO KIMURA

 大松秀雄が千葉県旭市で鶏を育てて50年以上たつ。養鶏に携わろうと思ったのは、高校生のときに患った原因不明の病気がきっかけだ。玄米食を中心にするなど食事法を変えることで体質に変化が現れ、時間をかけて完治することができた。「この経験で、食べものとは生命の糧であるということを実感しました。食の大切さを実感してからというもの、むさぼるように本を読み、大勢の先達に教えを請いました。そして、農・食・卵を通して、生命の尊さを人々にお伝えするのが、農人としての私の役割ではないかと考え、23歳のときに祖母の庭先養鶏を引き継ぎました。」そう大松は語る。

画像: 「おいしいものはすべての人の心をひとつにします」と語る、生産者の大松秀雄。太陽光と自然の風が入る自然開放型鶏舎にて。鶏は国産種の「ゴトウさくら」と「もみじ」を飼育している。 PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

「おいしいものはすべての人の心をひとつにします」と語る、生産者の大松秀雄。太陽光と自然の風が入る自然開放型鶏舎にて。鶏は国産種の「ゴトウさくら」と「もみじ」を飼育している。
PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

 大松と話をしていると、ちょっとした会話のなかにさまざまな書物のタイトルが挙がる。生物学者である千島喜久男の『血液と健康の知恵 ー新血液理論と健康、治病への応用 医学革命の書』、生物学者の福岡伸一の『生物と無生物のあいだ』、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』、イギリスの科学者で環境主義者、ジェームズ・ラブロックの『ガイアの時代 ―地球生命圏の進化』、人類学者のレヴィ=ストロースの『野生の思考』、アリス・ウォータース『アリスのおいしい革命』……。

書を読むだけではなく、ブラジルやアメリカ、オーストラリア、インド、中国、ロシア、東欧、ミャンマーなど世界各国をまわり、それぞれの国の農業を自分の目で見てきた。土地には土地にあった農業がある。日本の土地に合う農業とはどんなものか、大松は長年研究し続けている。「農家は命のメッセンジャーであるべき」というのが彼の持論だ。

 

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