“日本のフランス料理”として愛された東京會舘の伝統メニューが、満を持して復活。人々の五感と記憶に刻まれたあの味が、今、どのように供されるのか――。新シェフに就任した松本浩之が、伝統と革新の融合に挑む

BY KIMIKO ANZAI

 1922年の創業以来、日本の“大人の社交場”として親しまれてきた東京會舘。建物の老朽化を理由に一度閉館したが、この1月8日、レストラン、バンケット、ウエディングを有する総合施設として新たに生まれ変わった。風格あるエントランスや創業時からゲストを迎えてきた大シャンデリアなど華やかな雰囲気はそのままに、さらにモダンでスタイリッシュな佇まいを見せている。

 東京會舘といえば、真っ先に思い浮かぶのがフランス料理。「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」、「牛フィレ肉のグリエ ロッシニ風」、「マロンシャンテリー」などのメニューは、改装のため2015年にクローズするまで長きにわたって、多くの美食家たちを魅了してきた。今回、その“東京會舘の顔”ともいえる伝統的メニューが「レストラン プルニエ」で復活。懐かしい味との再会を心待ちにしていたファンも少なくないだろう。

レストラン プルニエの厨房を指揮するのは松本浩之シェフ。銀座「レ・ザンジュ」や乃木坂「レストラン・フウ」などで料理長を歴任し、正統派スタイルを守りつつもモダンな印象の料理に定評ある実力派だ。今回、伝統メニューをさらに進化させ、新しいスタイルを打ち出している。

画像: 松本 浩之 1969年山形生まれ。フランスの三ツ星レストラン「ラ・コート・ドール」や「ダニエル・メトリ」などで6年学び、本場の味を習得。帰国後は銀座「レザンジュ」、乃木坂「レストラン・フウ」などの名店のシェフとして活躍

松本 浩之
1969年山形生まれ。フランスの三ツ星レストラン「ラ・コート・ドール」や「ダニエル・メトリ」などで6年学び、本場の味を習得。帰国後は銀座「レザンジュ」、乃木坂「レストラン・フウ」などの名店のシェフとして活躍

 松本シェフに就任の打診があったのは3年前のこと。当初は“伝統あるフランス料理の継承”という重責に戸惑ったが、「自分に声をかけてくれたのは、東京會舘が新しく変わろうとしているからなのだろうか。ならば、自分の料理はきっと理解してもらえるはず」と、オファーを承諾したという。

 松本シェフの“新たな挑戦”が明確に伝わるのが、伝統メニューの「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」だ。正統派の味わいながらも、舌平目はよりふっくらとした食感になり、ソースたっぷりでも食後感は軽やか。聞けば、バターを控え、レモンピューレで味にアクセントをつけているという。新たにレストラン プルニエで供される“舌平目の洋酒蒸 ボンファム・松本バージョン”は、伝統を守りつつも、さらなる進化を遂げて見せた。

画像: 「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」¥5,700(アラカルト価格) 伝統メニューと“松本バージョン”の一番の違いは火入れ。舌平目を蒸してふっくらと仕上げている。コースで提供する際、2品コースの場合はソースは少し濃厚にし、4品コースの場合はソースの量を少し減らして軽くするなど、食後感も入念に考えているという

「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」¥5,700(アラカルト価格)
伝統メニューと“松本バージョン”の一番の違いは火入れ。舌平目を蒸してふっくらと仕上げている。コースで提供する際、2品コースの場合はソースは少し濃厚にし、4品コースの場合はソースの量を少し減らして軽くするなど、食後感も入念に考えているという

「料理に関しては新たにさまざまな調整をしましたが、一方で、長く東京會舘に通ってくださったお客さまの思いも大切にしたい。たとえば、昔食べた東京會舘のコンソメスープがお客さまの“人生のスープ”になっていることもあるでしょう。そのために、昔とまったく同じ“懐かしい味”も再現できるようにしました。予約時にお伝えいただければ、用意をしてお待ちしています」

「プルニエ」は、かつては魚料理専門の名店として名を馳せたが、新しい店では肉料理も用意している。「東京會舘のお客さまはご高齢の方も多いので、心地よく楽しんでいただけるよう、肉はA5ランクの佐賀牛に特化しました。箸で切れるほどにやわらかく、脂もすっきりとしています」と、松本シェフはおおらかな笑みを見せる。

「クレープシュゼットや魚の紙包み焼きなど、東京會舘に残る伝統メニューは、料理人にとっては“宝の山”。『舌平目の洋酒蒸 ボンファム』のような王道メニューを次世代に伝えることもできるし、自分なりの解釈でさらに進化させることもできる。挑戦できることがたくさんあって、腕が鳴ります(笑)」

 

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