数あるシャンパーニュのなかでも、その華やかさにおいて圧倒的存在感を示す「ヴーヴ・クリコ」。その理由をヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社代表取締役CEOのジャン=マルク・ギャロに聞いた

BY KIMIKO ANZAI, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 シャンパーニュは、時計やジュエリー、オートクチュールのドレスと同じように、“ラグジュアリー”を体感させてくれる飲み物。なかでも、その華やかさが際立つのが「ヴーヴ・クリコ」だろう。1772年にフランスのランスに創業。二代目当主フランソワ・クリコの妻で、夫亡きあとメゾンの後継者となったマダム・クリコ(ヴ―ヴ・クリコ)の時代から「品質はただひとつ、最高級だけ」をモットーに、つねに時代の最先端をゆく味わいのシャンパーニュを生み出している。

 ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社代表取締役CEOのジャン=マルク・ギャロは、その”ラグジュアリーたるゆえん”をこう語る。「シャンパーニュは、とにかく時間に負うところが多いワインです。シャンパーニュには瓶詰めのあと、ノン・ヴィンテージで15カ月、ヴィンテージで3年熟成させなくてはならないという規定があります。私たちの最高級キュヴェ『ラ・グランダム』に至っては、10年間熟成させています。長い時間の中でゆっくり熟成し、エレガントな味わいになっていく。その“時間”こそがラグジュアリーの証だといえるでしょう」

画像: ジャン=マルク・ギャロ ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社代表取締役CEO。ルーアンビジネススクールを卒業後、「カルティエ」「クリストフル」などでマネジメント職を歴任。2003年、ルイ・ヴィトン・ノース・アメリカのジェネラルマネージャーとしてLVMHグループに入社、2006年にヨーロッパ圏の取締役社長に就任。2014年より現職。大の親日家で、昨年二度目の来日を果たした。「『ヴーヴ・クリコ』の日本への初出荷は1867年でした。日本は長いおつきあいのある、特別な国なのです」

ジャン=マルク・ギャロ
ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社代表取締役CEO。ルーアンビジネススクールを卒業後、「カルティエ」「クリストフル」などでマネジメント職を歴任。2003年、ルイ・ヴィトン・ノース・アメリカのジェネラルマネージャーとしてLVMHグループに入社、2006年にヨーロッパ圏の取締役社長に就任。2014年より現職。大の親日家で、昨年二度目の来日を果たした。「『ヴーヴ・クリコ』の日本への初出荷は1867年でした。日本は長いおつきあいのある、特別な国なのです」

 ジャン=マルク・ギャロは、2014年から現職にあるが、以前は「カルティエ」「クリストフル」などでマネジメント職を歴任、2011年からは「ルイ・ヴィトン」取締役副社長として辣腕を振るってきた人物。誰よりも“ラグジュアリーの本質“を知っている。時間をかけてていねいに作られるものこそ、心に響くと考えている。「ヴーヴ・クリコ」は時に「ジュエリーメゾンのような趣がある」ともいわれるが、このことについて聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「確かに、共通するところは多いと思います。『イエローラベル ブリュット』はフラッグシップの指輪やペンダントに例えることができますし、ヴィンテージや『ラ・グランダム』はハイ・ジュエリーのラインのようでもある。ですが、最大の共通項は、“美しくあること”、“最高級のものを作ること”というスピリットにあるのではないかと私は考えます。つねに最高のものを作りだすには、伝統をリスペクトしつつも革新を続けなくてはなりません。加えて、時には“大胆さ”も必要となります。マダム・クリコのようにね(笑)」

画像: (左)「ヴーヴ・クリコ ローズラベル」<750ml>¥8,820 ピノ・ノワール44~48%、シャルドネ25~29%、ムニエ13~18%に赤ワインを12%ブレンド。ラズベリーやスパイスの香り。タンニンのニュアンスがやわらかく溶け込み、チャーミングな味わい。ラベルの色合いは日本の桜を意識して作られたという (右)「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット」<750ml>¥7,250 ピノ・ノワール50~55%、シャルドネ28~33%、ムニエ15~20%。リザーヴワインも多く使用され、フルーティーな中に芳醇さが感じられる。白桃やナッツの香り。モナコ公妃であったグレース・ケリーも愛飲した

(左)「ヴーヴ・クリコ ローズラベル」<750ml>¥8,820
ピノ・ノワール44~48%、シャルドネ25~29%、ムニエ13~18%に赤ワインを12%ブレンド。ラズベリーやスパイスの香り。タンニンのニュアンスがやわらかく溶け込み、チャーミングな味わい。ラベルの色合いは日本の桜を意識して作られたという

(右)「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット」<750ml>¥7,250
ピノ・ノワール50~55%、シャルドネ28~33%、ムニエ15~20%。リザーヴワインも多く使用され、フルーティーな中に芳醇さが感じられる。白桃やナッツの香り。モナコ公妃であったグレース・ケリーも愛飲した

 マダム・クリコは1800年初頭、ナポレオンが発した大陸封鎖令をかいくぐって「クリコ社」のシャンパーニュをロシア宮廷に売り込み、メゾンを発展させた。彼女はビジネスウーマンの先駆けという存在でもあったのである。以後、ヨーロッパの王侯貴族たちは、こぞって「クリコ社」のシャンパーニュを愛飲したという。彼女はまた、引退した従業員のために“リタイアメント・ハウス”を用意するなど、福祉に注力した女性としても名を残している。

「ヨーロッパには、優しくて強い女性のことを『ベルベットの手袋の中に鉄の拳を隠している』と表す言葉がありますが、これはまさしくマダム・クリコのことですね」とジャン=マルク・ギャロはほほ笑む。芍薬や木蓮など白い花の香りをもち、フレッシュでスタイリッシュな味わいの「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット」。凛とたたずむ女性のようなイメージの奥には、今もマダム・クリコの精神が生きている。

問い合わせ先
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
TEL. 03(5217)9738
公式サイト

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