さまざまな分野で活躍する“おやじ”たち。彼らがひと息つき、渋い顔を思わずほころばせる……そんな「おやつ」とはどんなもの? 偏愛する“ごほうびおやつ”と“ふだんのおやつ”からうかがい知る、男たちのおやつ事情と知られざるB面とは。連載第11回は実業家の堀淵清治さん

BY YUKINO HIROSAWA, PHOTOGRAPHS BY TAKASHI EHARA

 その後、山中でヒッピーライフを送るなど、奔放な人生を歩んでいたが、33歳のときに大手出版社・小学館のオーナーと知り合ったことから歯車が一気に回り出す。「帰国時に読んだ日本の漫画の精度の高さに驚き、これはアメリカでも広めるべきだと思い、『ビズコミュニケーションズ』を設立しました」。当時アメリカではコミックスは冷遇されていた時代。だが白土三平の『カムイ外伝』や池上遼一の『舞』、新谷かおるの『エリア88』などの漫画をアピールして果敢に攻めた。独特な読み方を浸透させるのに多少の時間はかかったが、『ドラゴンボール』、『北斗の拳』、『うる星やつら』、『らんま1/2』、『ONE PIECE』……その後のヒットは言わずもがな。「漫画で日本の文化や魅力を示すことができたのはうれしかったし、誇らしかったですね」。

画像: 「烏羽玉」6個入り¥450 亀屋良長 TEL.075(221)2005 公式サイト

「烏羽玉」6個入り¥450
亀屋良長
TEL.075(221)2005
公式サイト

 社名が『ビズピクチャーズ』となり、サンフランシスコの複合施設「NEW PEOPLE」に入店した「ブルーボトルコーヒー」を日本に招致したり、「ダンデライオン・チョコレート」を上陸させたり。日本に戻って仕事を展開することが増えたのが約5年前。帰国した際に無性に食べたくなるものは? 「日本を離れてわかったのですが、僕はあんこが大好きなようで、まず徳島の母が作ったおはぎが浮かびますね。あとは、京都にある『亀屋良長』が1803年の創業時から作り続ける『烏羽玉』はいいですよ」。黒糖を使ったこし餡に、薄く寒天をまとわせ、けしの実をふったあんこ玉は、一口サイズながらもコクと余韻はとめどない。「おやつは疲れたときに、一番手軽に元気をくれるものだね」。

 最後に、外(海外)から日本を見つめる堀淵さん、今の日本に対して思うこと。それからアドバイスはあるのだろうか?「日本は流行が最優先。本質を見つめ、指摘するジャーナリズムの精神がまだ薄いと思いますね。また、どんどん閉鎖的になっているような気がしています。インターネットがあるから全世界とつながっているような錯覚を起こしてしまいがちだけど、そこから得られるのは情報であって体験ではない。1カ月でも1週間でもいいから実際に旅をして世界から日本を見てみることをおすすめします。いいところも悪いところも見ることは、とても大事だと思うから」。

画像: 堀淵清治(SEIJI HORIBUCHI)さん 1952年徳島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、渡米。日本の漫画や映画の配給会社を立ち上げる。「ダンデライオン・チョコレート・ジャパン」のCEOを務め、現在は国内に5店舗、台湾でPOP UP SHOPを展開中 PHOTOGRAPH: © 2019 DANDELION CHOCOLATE JAPAN

堀淵清治(SEIJI HORIBUCHI)さん
1952年徳島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、渡米。日本の漫画や映画の配給会社を立ち上げる。「ダンデライオン・チョコレート・ジャパン」のCEOを務め、現在は国内に5店舗、台湾でPOP UP SHOPを展開中
PHOTOGRAPH: © 2019 DANDELION CHOCOLATE JAPAN

 

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