効率よりも品質重視。目の届くなかで手塩にかけてよいものを――。東京の地で、周囲と手を携え、日々の糧を生み出す5人の農業生産者へのインタビューを前・後編でお届けする

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY YUKO CHIBA

都内唯一のブランド牛として、
小規模で日本最高品質を目指す「竹内牧場」

 東京・新宿「パークハイアット東京」の「ニューヨークグリル&バー」のメニューに「秋川牛」が2年ほど前から登場している。東京唯一の黒毛和種ブランド牛だ。同店のポール・ガヤフスキー料理長は「五感を刺激される食材です。驚くほどしっとりした舌ざわり、洗練されて雑味がなく、後を引く深いうま味があります」と絶賛。都下で、こんな優れた風味の牛をどのように育てているのだろう。牧場のある、あきる野市を訪れた。

画像: 竹内牧場

竹内牧場

 花の咲き乱れる里山の合間に「竹内牧場」はあった。黒毛和種の雌牛だけが220頭、育てられている。牧場主の竹内孝英は、代々続く米と野菜の農家から肥育農家になって二代目だ。父の孝司が乳牛1頭を手始めに肉牛を手がけるようになり、今の規模まで拡大した。岩手の家畜市場で、生後8〜9
カ月の黒毛和種の子牛を孝司が買い付け、孝英が22カ月間肥育する。300㎏ほどだった子牛が約900㎏になるまで丁寧に育て、月に10頭ほど出荷している。

「牛の肥育で一番心がけているのは、清潔で気持ちよく過ごせる環境作りです」。牛舎がいつも清潔ならば、牛はよく眠り、よく食べる。牛が健やかであれば、肉質はよくなる。良質な混合飼料をベースに、青草やオーツ麦、さとうきびの搾りかす、乳酸菌、稲わらなど、年齢や体の状態に合わせてこまやかに調整している。奥多摩の山々の地下水脈から湧き出る井戸水も、牛の体作りに一役かっている。

画像: 「東京都産秋川牛リブアイ」¥18,150(サービス料金別) パークハイアット東京「ニューヨークグリル&バー」 東京都新宿区西新宿3-7-1-2 TEL.03(5323)3458 公式サイト COURTESY OF PARK HYATT TOKYO

「東京都産秋川牛リブアイ」¥18,150(サービス料金別)
パークハイアット東京「ニューヨークグリル&バー」
東京都新宿区西新宿3-7-1-2 
TEL.03(5323)3458
公式サイト
COURTESY OF PARK HYATT TOKYO

 竹内牧場にはもう一つ、重要な生産物がある。健康な牛の糞をおがくずや藁とともに二次発酵までさせ、3カ月かけて天然の有機肥料に。この堆肥は世田谷などの農地に運ばれ、循環型農業の支えになっている。

 柔らかな風が通る牛舎で過ごす牛たちは、人を怖がる様子もなく、穏やかに毎日を過ごしているようだ。「私は親父が切り拓いてくれた道を進化させているだけです。親父は牛肉の輸入自由化のときは苦労しましたが、いつも生き生きと仕事をしていましたね」。その様子を見て跡を継ぎたいと思ったという。「土地が狭いので牛舎はこれ以上増やせない。事業を拡大せず、品質を上げることに注力し、日本最高品質を目指します」

画像: 全員(牛)の顔がわかると話す竹内孝英

全員(牛)の顔がわかると話す竹内孝英

竹内牧場
東京都あきる野市菅生1460 
TEL. 042(558)7454

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