BY T JAPAN, FOOD COORDINATION BY YUKIKO HIRANO
【今月の野菜:熟成じゃがいも】
平野さんが今回選んでくれたのは、最近目にすることが増えてきた熟成じゃがいも。「熟成の期間は数か月から2年ものなどさまざま。春は新じゃがの季節ですが、越冬して甘くなった熟成じゃがいもの季節でもあります。品質や貯蔵技術の向上によって農業も変わってきているんだなと感じます」(平野さん)
レシピ1:熟成じゃがいものアンチョビ焼き
アンチョビの絶妙な塩味とにんにくの香りが漂い、お酒のおつまみとしてはもちろん、スナックや軽食としても手が止まらない美味しさ。じゃがいもはどんな品種でもOKだが、2〜3種類取り合わせるのがおすすめ。ここでは、はるか、北あかり、アンデスレッドを使用。
<材料2〜3人分>
じゃがいも600g、にんにく1かけ、アンチョビ3枚、オリーブオイル大さじ2、イタリアンパセリ3〜4茎、ワインビネガー大さじ1、塩、黒こしょう
<作り方>
1 じゃがいもはたわしでよく洗い、皮付きのまま切る。小さいものは半割りに、大きいものは4等分に切る。にんにく、アンチョビ、パセリは粗みじん切りにする。
2 ボウルにオリーブオイル、にんにく、アンチョビ、塩少々を加え混ぜる。そこにじゃがいもを加えて和える。
3 耐熱皿に2のじゃがいもを並べて200度のオーブンで約40分全体に焼く。途中で取り出して上下を返す。
4 こんがりとした焼き色がついたらワインビネガーを回しかけ、パセリを加え混ぜ、2〜3分焼く。仕上げに塩少々をふり、黒こしょうを挽く。
レシピ2:ベックオフ
玉ねぎの甘みと羊&豚肉の旨味、白ワインがじんわり浸みこんだ、いつもの肉じゃがとは一味違う洒落た煮込み料理。長時間火を通すので、じゃがいもは煮崩れしにくくねっとりとした食べ応えのあるメークインがおすすめ。
<材料4人分>
じゃがいも(メークイン)600g (大4個)、玉ねぎ1個、にんじん1本、にんにく1かけ、豚バラ固まり肉300g、ラムチョップ4本(300g)、白ワイン200ml、水200ml、ローリエ1枚、タイム2〜3枝 塩、こしょう
<作り方>
1 豚肉は4等分にし、塩小さじ1、こしょうをしておく。ラムチョップにも塩小さじ1、こしょうをする。ひと晩置く。
2 じゃがいもは2㎝幅、玉ねぎは半分に切り、さらに1㎝幅に、にんじんは1㎝幅の輪切りにする。にんにくは芽をとってつぶす。
3 鍋に玉ねぎ、じゃがいも、にんじんの半量、にんにくを入れ、その上に豚肉とラムチョップをのせる。残りの野菜、ローリエ、タイムをのせる。
4 白ワインを注ぎ、中火にかけ、煮立ったら水を加える。
5 ふたをして180度のオーブンで1時間半煮込む。直火で煮る場合には1時間10分〜1時間半煮る。
【おすすめのお酒:アルザスのクラフトビール】
「今回はアルザスのクラフトビールを。アルザスのワインなどももちろん合いますが、こっくりとして塩気が効いた熱々のじゃがいも料理にビールは最高ですね」と平野さん。フランス東部、ライン川をはさんでドイツとの国境にあるアルザス地方は、フランスのビール産業の中心地。フランスで飲まれているビールはその約7割がアルザス産だそう。「爽やかで風味のあるクラフトビールならば、喉ごしがよくすっきりするだけでなく、じゃがいも料理がより引き立つように感じます。最近はオーガニックの原材料を使用しているものも増えてきています」
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら