料理やお酒を家で楽しむことが、より一層求められている昨今。季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第11回は、冬の食卓を香り豊かに彩る春菊を、今どき感たっぷりにアレンジ!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 今月の野菜、春菊に合わせるのはどぶろく。爽やかでジューシーな風味が楽しめる組み合わせに、従来のどぶろくのイメージが変わるはず

今月の野菜、春菊に合わせるのはどぶろく。爽やかでジューシーな風味が楽しめる組み合わせに、従来のどぶろくのイメージが変わるはず

 冬に旬を迎える春菊。キク科の植物で、春に花が咲くことからこう呼ばれるようになったという。ほろ苦さと特有の香りのある春菊は、鍋ものに欠かせない冬を代表する青菜だ。「最近はサラダなど生で食べるレシピが人気です。生だと、加熱するよりも苦味や香りがマイルドに感じられるので、たっぷり食べられるのが魅力。今回のメニューには、今、注目しているどぶろくを合わせてみました。蔵によって様々ですが、爽やかな酸味があり、シュワッとした発泡を感じるものがあります。そんなどぶろくはフレッシュな野菜料理と相性がいい。春菊の香りと歯ごたえを、どぶろくが引き立ててくれます」(平野さん)

レシピ1:春菊のポテトサラダ

 こんなに?と思うくらいの量の春菊を加えるのがポイント。噛むたびに春菊のフレッシュな香りが広がり、クリーミーなどぶろくがポテトサラダを包み込む、新しい出会いをお試しあれ。

画像: おなじみのポテトサラダが、春菊を加えることで独特の風味が後を引く、大人のための一品に変身

おなじみのポテトサラダが、春菊を加えることで独特の風味が後を引く、大人のための一品に変身

<材料 4人分>
じゃがいも4個(600g)、春菊1/2束、玉ねぎ1/4個、マヨネーズ70g、ディジョンマスタード大さじ1
A[オリーブオイル大さじ1、ワインヴィネガー小さじ1、塩少々]

<作り方>
春菊は水につけてしゃっきりとさせる。軸、葉ともに1㎝幅に切る。玉ねぎはごく薄切りにし、塩もみして水にさらした後、水気をよく拭き、[A]でマリネしておく

じゃがいもは2〜3等分の乱切りににし、1%の塩を加えた水に入れてゆでる。柔らかくゆで上がったら、水気を切り、弱火にかけて粉ふきにし、木ベラなどでつぶす。

じゃがいもが熱いうちにの玉ねぎ、マヨネーズ、マスタードを加えて和える。

粗熱がとれたら、春菊の葉、軸を加え混ぜる。

レシピ2:春菊のジョン

 少量の粉をまとわせ、卵を絡めて焼く韓国料理、ジョン。春菊の中に相性のいい牡蠣を忍ばせて、カリッと香ばしく揚げ焼きに。

画像: ジョンはチヂミと違い、加える小麦粉の量はほんの少量。粉ものではなく野菜料理なので、お腹にそれほどたまらないのも、呑兵衛には嬉しい

ジョンはチヂミと違い、加える小麦粉の量はほんの少量。粉ものではなく野菜料理なので、お腹にそれほどたまらないのも、呑兵衛には嬉しい

<材料 2人分>
春菊1/3束(50g)、牡蠣(加熱用)4粒、卵1個、薄力粉大さじ1/2、ごま油大さじ3〜4、塩

<作り方>
春菊は水につけてしゃっきりとさせる。春菊の葉は2〜3㎝長さのざく切りにする。軸は斜め薄切りにする。

牡蠣は汚れを落とすために片栗粉と塩(ともに分量外)を振り入れて軽く揉み、洗っておく。

ボウルにを入れて薄力粉を加えて混ぜ合わせる。

卵は溶きほぐし、塩少々を加えてに加え混ぜる。牡蠣も加える。

フライパンにごま油を熱し、春菊を4等分し、中央に牡蠣がくるようにして7〜8㎝大にまとめ、平たくし、中弱火で焼く。カリッとして焼き色がついたら、反対側も焼く。酢醤油などをつけていただく。

【今月のお酒セレクト:稲とアガベ どぶろくseries 改良信交 水もと 01】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 どぶろくとは、米と麹と水を発酵させ、日本酒造りで行う「搾り」のないお酒。起源は稲作と同じくらい古いと言われている。濾していないことから、米と米麹の栄養、アミノ酸やコウジ酸がそのまま残っているので、美容面、健康面からも注目されている。「稲とアガペのどぶろくは、精米歩合92%とお米をあまり削らずに、水もと仕込みで作ったどぶろく。お米の甘みとシルキーなテクスチャー、ほど良い酸味があるので、料理と合わせやすいですね。和食はもちろん、スパイス料理やフルーツを使った料理などとの相性もいい。そして、野菜のおいしさを引き立ててくれる魅力的なお酒です」(平野さん)

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.