米国在住の画家、藤田理麻。コロナ禍で誰しもが不安を抱く時代に大切なものは他者への、そして自分への思いやりだと彼女は言う。その想いがダイレクトに響く原画を11月4日(水)より1週間、東京で見ることができる

BY OGOTO WATANABE

 画家、藤田理麻は独特なプロセスで絵を描く。目で見たものではなく、夢などで見る“ビジョン”を形にするため筆をとる。画法も独特で、黒い紙やキャンバスに、まるで暗闇に光をあてるかのように色を重ねて描いて行く。その新作個展が11月4日(水)から開催される。テーマは『カルナ』だ。

画像: 『ラプチャー』(51×41.5cm / ミクストメディア / キャンバス) 「今回のシリーズでは、「思いやりの心」の象徴として、観音菩薩がよく登場します」 © RIMA FUJITA 2020

『ラプチャー』(51×41.5cm / ミクストメディア / キャンバス)
「今回のシリーズでは、「思いやりの心」の象徴として、観音菩薩がよく登場します」
© RIMA FUJITA 2020

「『カルナ』とはサンスクリット語で「思いやりの心」という意味です。この時代、他者と自分への思いやりが何より大切なのではないか、という想いから誕生したシリーズです」と藤田は語る。「コロナ禍もあり、今、この地球上の多くのひとたちが苦しい思いをしているはずです。でも、自分さえ良ければいいと思っていても人間は決して幸せになれないものですし、問題を解決することもできないのです。一方で、他人のことばかり意識して自分自身をケアしないと、人間は幸せにはなれないもの。”自分へ思いやりの心を送る“というのは想像以上に容易ではないのです。単に自分を甘やかすのではなく、自分の深い場所で自身を本当に許すという意味での「思いやりの心」は、忘れがちなことなので」。

画像: 藤田理麻(RIMA FUJITA) 画家。米国在住。長年、チベット難民の子どもたちに絵本を送る活動を続けてきた。2021年の夏には米国Wisdom Publicationsからダライ・ラマ14世の生涯を描く絵本も発行される。彼もまた「思いやりの心」の大切さを説き続けてきた。藤田は猊下のもとを何度か訪れ、2018年にはダラムサラにてロングインタビューも行った COURTESY OF RIMA FUJITA

藤田理麻(RIMA FUJITA)
画家。米国在住。長年、チベット難民の子どもたちに絵本を送る活動を続けてきた。2021年の夏には米国Wisdom Publicationsからダライ・ラマ14世の生涯を描く絵本も発行される。彼もまた「思いやりの心」の大切さを説き続けてきた。藤田は猊下のもとを何度か訪れ、2018年にはダラムサラにてロングインタビューも行った
COURTESY OF RIMA FUJITA

 伊勢丹新宿店で開催される彼女の個展は、今年で27回目を迎える。「ロサンゼルスでは新型コロナウィルスに関して深刻な状況が続いています。自分の個展の会場に行けないのは、この個展が始まって以来、初めてのことです。残念でなりません。でも、そのぶん、私も会場スタッフの方々も想いをこめて準備をしてきました」。黒を背景に、鮮やかな色がいくつも浮かびあがり精神的世界が描れる藤田の作品だが、その色彩が今回はいつにもまして輝きを放っているように感じられる。

藤田理麻 新作絵画展『Karuna』
会期:2020年11月4日(水)~10日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
住所:新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店内
開館時間:10:00~20:00(最終日は18:00終了)
入場料:無料
電話:03(3225)2793<伊勢丹新宿店 アートギャラリー>
公式サイト

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