BY KIMIKO ANZAI
新ヴィンテージ誕生を記念し、この6月、シャンパーニュと日本、オーストラリアをオンラインで繋いでのスペシャルなバーチャル・イベントが開催された。
「ようこそ、シャトー・ド・サランへ。皆さんとともにこの時間を共有できて、とてもうれしく思います」――。「モエ・エ・シャンドン」最高醸造責任者のブノワ・ゴエズ氏が開会の辞を告げる。今回は、ゲストハウス「シャトー・ド・サラン」から新ヴィンテージのセミナーを行うだけでなく、シャトー専属のシェフの指導のもと、新ヴィンテージに合わせた料理を実際に作るという趣向を凝らしたイベントだ。事前に「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2013」と「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2013」、グラスが送られてきたのだが、なんと”本物の”シェフジャケットも同梱されていた。
「“ヴィンテージ”は特別なものです。その年の気候を映したものであるので、ブドウが素晴らしく優れた年にしか造られません。フラッグシップである『モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル』は毎年同じスタイルでなければなりませが、ヴィンテージはもっと自由。その年のテロワールを把握し、エモーショナルなアプローチで造られるのです」
ゴエズ氏は、かつてこうも言っていた。「“モエ アンペリアル”を造る時、私はオーケストラの指揮者のような気分になりますが、ヴィンテージ”の場合は“ソリスト”のような気持ちになります」。2013年は涼しい気候が続き、収穫が極めて遅い年だった。そのぶんブドウはゆっくりと育ち、特にシャルドネの出来は素晴らしかったとゴエズ氏はいう。「美しく成熟し、クリーンでクリスタルのようでした。ピノ・ノワールもムニエも十分に成熟し、『申し分なし』でした」
さて、画面はシャトー・ド・サランのキッチンへ。専属シェフの指導のもと、「オマールブルーのグレナディンとグレープフルーツソース仕立て」を作る。当日届けられた調理キットを使用し、画面を見ながらシェフの手順に従うと、まるでプロのような一皿に。
「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ2013」の味わいは、果実味が豊かでエレガントながら、とてもエナジック。「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2013」は、ベリーやザクロ、スパイスの香りで、甘やかな果実味とフレッシュな酸が印象的だ。
今、渡航が難しいこともあり、多くのワイン生産者がオンラインでイベントやテイスティングセミナーを行っているが、モエ・エ・シャンドンのそれは、“フェスティバル”を感じさせるような華やかさで、互いが会えない時期に「少しでも楽しい時間を共有しよう」という思いを感じさせた。ゴエズ氏はかつて「シャンパーニュとは幸福を分かち合う飲み物だ」と言った。「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2013」、「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2013」は氏のそんな思いから生まれているに違いない。
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