せきね きょうこ 連載
新・東京ホテル物語<Vol.35>

New Tokyo Hotel Story “ASCOTT MARUNOUCHI TOKYO”
ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第35回目は、知る人ぞ知るビル街大手町の“隠れ家”ホテル「アスコット丸の内東京」

BY KYOKO SEKINE

超都心にある高級ホテルの理想は、何よりも利便性に集約されると思っていないだろうか。しかし、都心のホテルに求められるのは便利さだけに限らない。むしろ都心にあるからこそ、ホテルではくつろぎたい、仕事を忘れて休みたい、という利用者の本音もあるだろう。使い勝手がよい上に、もし選んだホテルに緑多き環境や静けさがあったら、なにより嬉しい滞在となるに違いない。

 洗練された東京のホテルらしさを誇りながら、静謐な時を刻む空間づくりがなされ、ハイダウェイ(隠れ家)のごとくあまり目立たず、“知る人ぞ知る”というプライベートな印象を与えてくれるホテルに出会った。ホテル「アスコット丸の内東京」である。

画像: ビル街大手町の一画、高層ビルのホテル専用入口から入館

ビル街大手町の一画、高層ビルのホテル専用入口から入館

 ロケーションは、東京のビジネス街の中心となる大手町。きめ細やかで上質なサービスを提供し、おいしいレストランがそろう「アスコット丸の内東京」は、その一画にある。住所は大手町1-1-1、まさに大都会東京の中心地だ。

 ホテルの所在を示す大きな看板もないことに、タクシードライバーは「最近のホテルはビルの中にあるし、看板が小さくて見えづらくて困るね…」というが、それでいいと思う! いつまでも誰にも存在感を知られないのも困るが、知った人たちが自慢げに“口コミ”を始め、まるで自分だけが顧客であるかのように得意気に吹聴する――これこそが理想的な宣伝になるのである。

画像: 天井が高く、広々としたロビーラウンジはレセプションエリアへと続く

天井が高く、広々としたロビーラウンジはレセプションエリアへと続く

「アスコット丸の内東京」は、大手町パークビルディングの22~29階を占有している。ビル1階のホテル専用エントランスからエレベーターでレセプション階に上がると、そこには天井の高い吹き抜けの空間が広がり、全面ガラスの窓の外には、小規模ながら屋外庭園とテラスがしつらえられている。

 このロビー空間を彩るのは、世界各国のアーティストが手がけた独創的なアート作品だ。そもそも、レジデンスでも知られる「アスコット」は、シンガポールに拠点を置く世界企業のブランドのひとつである。数々のアートのテイストが、こうしたホテルらしいインターナショナルな雰囲気を醸し出している。

画像: 22階まで上がるとそこはレセプションエリア。左がチェックイン・アウトのカウンター、右のガラス窓の外には屋外テラスが広がる。細長い奥のスペースはロビーラウンジ

22階まで上がるとそこはレセプションエリア。左がチェックイン・アウトのカウンター、右のガラス窓の外には屋外テラスが広がる。細長い奥のスペースはロビーラウンジ

画像: 晴れた日には、緑のある屋外テラスが快適

晴れた日には、緑のある屋外テラスが快適

 ロビーのあるパブリックフロアには、スポーツジムやエクササイズ用プール、ビジネスセンター、授乳室などがそろい、メインダイニングであるレストラン「トリプルワン」もある。このレストランで提供されるのは、バラエティに富んだシンガポール&チャイニーズ キュジーヌ。朝食には洋食のほか、ラクサや薬膳粥など美医食同源をコンセプトにした品々もあり、ゆったりとした空間でオリジナリティあふれる料理がいただける。

画像: ロビー階にあるレストラン「トリプルワン」は、ブッフェの内容も種類もバラエティに富む。朝食、ランチ、ディナーともに、シンガポール&チャイニーズを中心としたインターナショナルな料理が魅力だ

ロビー階にあるレストラン「トリプルワン」は、ブッフェの内容も種類もバラエティに富む。朝食、ランチ、ディナーともに、シンガポール&チャイニーズを中心としたインターナショナルな料理が魅力だ

画像: 朝食で日替わりで提供される「ラクサ」。シンガポールやインドネシアで広く食べられているスープ麺だ

朝食で日替わりで提供される「ラクサ」。シンガポールやインドネシアで広く食べられているスープ麺だ

「アスコット丸の内東京」の特徴は客室にもある。各階は日本の四季をテーマに彩られ、それぞれの季節をモチーフにした客室のインテリアは上質感を漂わせている。スタジオ<38㎡>から、3ベッドルームの丸の内スイート<163㎡>まで、カテゴリーも意匠も異なるタイプが130室。

 多くの客室に調理器具(キッチンや食器類)がつくほか、部屋によっては洗濯乾燥機まで備わり、長期滞在のビジネス利用者も困らない造りだ。どの客室も大きな窓から日差しが入り、明るさもじゅうぶん。周囲にピタリと迫るビルがないため、都会の空や景色を広々と見晴らせるのも気持ちがいい。

画像: 都心の夜景が美しい角部屋は、ワンベッドの「スタジオ」<38㎡>タイプ

都心の夜景が美しい角部屋は、ワンベッドの「スタジオ」<38㎡>タイプ

画像: 「2ベッドルーム・エグゼクティブ」<113㎡>のダイニングとキッチンスペース PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ASCOTT MARUNOUCHI TOKYO

「2ベッドルーム・エグゼクティブ」<113㎡>のダイニングとキッチンスペース
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ASCOTT MARUNOUCHI TOKYO

 スタイリッシュでモダンなインテリアは、デザインがとがり過ぎず、落ち着いた印象だ。130室もの客室がありながら、むしろブティックホテルのようなプライベート感が漂う。このホテルのそんなぬくもりある雰囲気が、ほっと肩の力が抜けて、自宅でくつろいでいるような安心感につながるのだろう。

アスコット丸の内東京(ASCOTT MARUNOUCHI TOKYO)

住所:東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング 22F-29F
電話: 03(5208)2001
客室数:全130室
料金:¥48,000~(1泊1室2名の室料。消費税・サービス料別)
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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