せきね きょうこ 連載
新・東京ホテル物語<Vol.36>

New Tokyo Hotel Story “THE GATE HOTEL TOKYO by HULIC”
ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第36回目は、東京・銀座の中心地に建つバリュアブルなホテル「ザ・ゲートホテル東京 by HULIC」

BY KYOKO SEKINE

 銀座界隈にはすでにあまたのホテルが点在しており、もうこれ以上は、銀座の中心地にホテルの生まれる余地はないと思っていた。しかし、昨年末、新たにオープンしたホテルは、どこよりも目立つ一等地、有楽町のまさに中心であり、銀座と日比谷のあいだに位置する驚きのロケーションであった。東京メトロ銀座駅に直結し、同じく日比谷駅からも徒歩1分、JR有楽町駅からは徒歩約3分の距離にあり、利便性をとやかく語るまでもない便利な場所だ。

 2018年12月14日オープンの真新しいホテル「ザ・ゲートホテル東京 by HULIC」は、先にオープンし、すでに人気を博す浅草雷門に続き、同ブランド2軒めのホテルとなった。東京銀座のこのホテルは同ブランドホテル旗艦店となることから、関係者やスタッフの思いには熱いものがあるだろう。

画像: ホテルの入る商業ビル「ヒューリックスクエア東京」の外観。ホテルは4階~13階を占め、4階と13階にはテラスがある。銀座、有楽町、日比谷という東京の中心的商業地区のにぎわいを肌で感じる好立地だ

ホテルの入る商業ビル「ヒューリックスクエア東京」の外観。ホテルは4階~13階を占め、4階と13階にはテラスがある。銀座、有楽町、日比谷という東京の中心的商業地区のにぎわいを肌で感じる好立地だ

 まずロケーションのよさに驚かされたが、このホテルにはほかにも驚くことが多々あった。建物のすぐ目の前には新幹線やJR各路線、首都高速道路が見え、さらにビルの前が晴海通りという交通網の中心地であるため、周囲は都会の騒音に包まれている。「騒音対策には、より気を遣いました」と語るのは、総支配人の安間氏だ。おかげで館内では外の物音が何ひとつ聞こえてこない。都心のホテルではややもすると、騒音対策を十二分に講じても、実際にはわずかながら音が聞こえることが多いのに、ここ「ザ・ゲートホテル東京」の館内ではそれを感じない。この立地にいながらにして、“静謐”な客室で眠るのが夢ではないのだ。

画像: 4階にあるロビーラウンジやレセプションは、天井高7.5mの開放感あふれる空間が印象的

4階にあるロビーラウンジやレセプションは、天井高7.5mの開放感あふれる空間が印象的

 ホテルは商業ビル「ヒューリックスクエア東京」の4階から13階を占めている。客室数は見た目よりも多く164室。地上からホテル専用エレベーターで4階のロビーに上がると、天井高7.5mの快適な空間が迎えてくれる。ガラス張りのロビーエリアには、ピアノの置かれたラウンジのほか、屋外にロビーテラスが設けられ、ふだんとは違う目線で都心の眺望が楽しめる。

 レセプションから奥に進むと、オールデイダイニング「Anchor Tokyo」へと続く。早朝6時30分から23時までフル回転。エグゼクティブシェフ兼総支配人の安間昭彦氏はみずから時折ここのキッチンに入り、手が空けばサービスもこなすマルチなGMだ。レストランの窓からは銀座で歴史を刻む隣接の「泰明小学校」が望め、都会っ子たちが屋上で遊ぶ姿が微笑ましく映る。

画像: レセプションの前を通り、奥に進むとオールデイダイニング「Anchor Tokyo」へ。西洋料理を基本に、素材を大切にする料理を幅広く提供。ほかに「鉄板焼 やすま」という、総支配人の名を冠した予約専門の鉄板焼きも。総支配人兼総料理長の安間氏が時には腕をふるう

レセプションの前を通り、奥に進むとオールデイダイニング「Anchor Tokyo」へ。西洋料理を基本に、素材を大切にする料理を幅広く提供。ほかに「鉄板焼 やすま」という、総支配人の名を冠した予約専門の鉄板焼きも。総支配人兼総料理長の安間氏が時には腕をふるう

画像: 「Anchor Tokyo」ではリッチな朝食も提供

「Anchor Tokyo」ではリッチな朝食も提供

 ショッピングゾーンや公園、美術館などに恵まれた立地を生かし、ホテルでは、街と繋がることをコンセプトに、銀座を中心としたローカルな体験も楽しんでほしいと提案する。「銀座花通り」をテーマとしたパブリックエリアのアートは、銀座の歴史と今、そして未来へと向かう輝きを表現している。そのひとつが、ロビーラウンジの天井を飾る“さくら吹雪”のアートである。また、銀座の外気を肌で感じるホテルであることを前面に謳い、13階のプレミアムラウンジにもテラス席が設けられた。

 6つのカテゴリーそれぞれに落ち着いた造りの客室は、“秘すれば花”をテーマに掲げている。世阿弥の「風姿花伝」にある言葉で、人は予想もしていないことに感動するものであり、秘密にすることによって価値が生まれるとして、秘めることの重要性を説いたものだ。個人的には、銀座の“粋”を表現し、"個"を大切にする大人の街にふさわしい上質なクオリティを秘めた客室は、この言葉の意味がそのまま投影されたもののように感じられる。

画像: 最小タイプの客室「Modest」<20㎡>。Vitra社の昇降デスク、スマホで調光調色が可能なPhilips社のスマート照明「Hue」、PCモニターやキーボードなど、ビジネスマンにはありがたいこだわりの設備が整う

最小タイプの客室「Modest」<20㎡>。Vitra社の昇降デスク、スマホで調光調色が可能なPhilips社のスマート照明「Hue」、PCモニターやキーボードなど、ビジネスマンにはありがたいこだわりの設備が整う

画像: 最大の客室「THE GATE」<73㎡>

最大の客室「THE GATE」<73㎡>

画像: 最も多いタイプの「Classy」<34~36㎡> PHOTOGRAPHS: COURTESY OF THE GATE HOTEL TOKYO BY HULIC

最も多いタイプの「Classy」<34~36㎡>
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF THE GATE HOTEL TOKYO BY HULIC

 最小規模の客室「Modest」は20㎡と決して広いとはいえないが、使い勝手がよく、このロケーションでのリーズナブルな価格設定はうれしい限りである。ほかに最大の客室「THE GATE」<73㎡>が1室、最も多いタイプ「Classy」<34.36㎡>が83室揃う。いずれのタイプも“マネ-・フォー・バリュー”。銀座エリアで初めて、クオリティと価格に納得のいくホテルである。

ザ・ゲートホテル東京 by HULIC(THE GATE HOTEL TOKYO by HULIC)

住所:東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア東京4~13F
電話: 03(6263)8233
客室数:全164室
料金:¥21,384~(1泊1室2名の室料。消費税・サービス料込)
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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